要約
「ふじ」/「JM7」台木の接ぎ木当年生のフェザー苗を育成する際、ジベレリン酸(GA3)+6-ベンジルアデニン(BA)混合液を処理することにより、従来のBA単独処理に比へ ゙てフェサ ゙ーの発生を促進することか ゙て ゙きる。
- キーワード : リンゴ、高密植栽培、分枝、植物成長調整剤、ジベレリン、サイトカイニン
- 担当 : 果樹茶業研究部門・果樹品種育成研究領域・果樹茶育種基盤グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
省力樹形として導入が進められているリンゴの高密植栽培では、フェザー(新梢の側芽から同じ年に伸長した側枝)が多数発生したフェザー苗を10アールあたり250~400本密植するため、フェザー苗を安価に大量生産する必要がある。1年生苗や接ぎ木当年生苗のフェザー発生を促進するために、従来法としてBAが繰り返し散布されてきたが、接ぎ木当年生苗ではフェザーが発生しづらいことが課題となっている。
最近、我々はGA3の散布もフェザーの発生を促進することを明らかにした。本研究では、GA3+BA混合液の繰り返し散布が、接ぎ木当年生苗のフェザー発生に及ぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- GA3(0,100,500,1000μM)とBA(0,75,150,300mg・L-1)の16(4×4)組み合わせのうち、1000μM GA3+300mg・L-1 BA混合液を主幹延長枝の先端10~20cmに週に1回(5mL/樹)、9週間(2019年7月10日から9月6日)繰り返し散布することにより、「ふじ」/「JM7」台木の接ぎ木当年生苗のフェザー数を最も増加させることができる(表1、16組み合わせのうち3組み合わせを抜粋)。
- 1000μM GA3+300mg・L-1BA混合液を処理した苗木は、従来法である300mg・L-1BA溶液を処理した苗木と比べて、主幹延長枝長が1.0倍、1cm以上のフェザー数が1.5倍、5cm以上50cm未満のフェザー数が2.0倍、フェザー長が1.2倍、主幹直径が0.9倍となる(表1、図1)。また、1000μM GA3+300mg・L-1BA溶液で処理した苗木のフェザー長は、94.5%が1~30cmの長さで、従来法である300mg・L-1BA溶液処理と同様に50cm以上のフェザー数はわずかである。
成果の活用面・留意点
- 「ふじ」/「JM7」台木の接ぎ木当年生のフェザー苗を育成する際、GA3+BA混合液を処理することにより、BA単独処理に比へ ゙てフェサ ゙ーの発生を促進することか ゙て ゙きる。
- 「ふじ」/「JM7」台木以外の穂品種/台木の組み合わせでは試験を行っていない。
- 2023年11月末時点で、GA3はリンゴにおいて生育調整剤として登録されていない。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金
- 研究期間 : 2018~2023年度
- 研究担当者 : 岡田和馬、和田雅人、清水拓、森谷茂樹、阿部和幸
- 発表論文等 : Okada K. et al. (2024) The Horticulture Journal
doi.org/10.2503/hortj.QH-101