要約
低温保管システムを用いることにより、12%の生葉受け入れ量を増加させるとともに、品質を向上させることが可能であるため、15%の収益増加が見込まれる。実証試験においては20~50%の生葉受け入れ量増加が可能であることを明らかにしている。
- キーワード : 茶、低温保管、受け入れ量増加、冷蔵
- 担当 : 果樹茶業研究部門・茶業研究領域・茶品種育成・生産グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
茶は収穫後速やかに茶工場で一次加工する必要がある上、収穫期のピークは約2週間と非常に短い。そこに近年の従事者の減少に伴う過密な製造スケジュールが加わって、労働条件の悪化、作業遅れによる製品の品質低下が課題となっており、さらには既存茶工場の効率的利用・年間の稼働率の向上も求められている。そこで、収穫後の生葉の保管環境を適切に設定することにより、品質低下を防ぐことができる「低温保管システム」を開発する。本システムには生葉を「閉鎖型低温庫(2種類)で保管」または「開放型低温庫で保管」の2つの技術が含まれており、これらを用いて既存茶工場における生葉受け入れ量を増加させ、問題点の改善を図る。
成果の内容・特徴
- 閉鎖型(2種類)と開放型の低温保管システム(図1)を開発し、いずれの時期においても外気温に関わらず茶葉温度を設定温度付近で均一に保つことが可能である(図2)。
- 経営面積が10%増加した時に、閉鎖型低温保管システム未導入の場合では、増加した面積から得られる生葉は全て適期を逃した普通煎茶となる。この場合の試算結果では、生葉受け入れ量は8%、収益は5%の増加に留まる。一方、閉鎖型低温保管システムを用いた場合では、増加した面積分も適期にてん茶を製造することができるため、生葉受け入れ量は12%増加し、収益は15%の増加が見込まれる(表1)。
- 閉鎖型低温保管システム(建物自体が低温庫のもの)を用いた実証試験地では、毎年経営面積が増加していたが、製造ラインを増やすことなく、高品質な製品の製造を維持しながら、20~50%の生葉受け入れ量を増加させることが可能であることを明らかにしている(表1)。
- 開放型低温保管システムを導入し香り緑茶を製造した場合、茶期前後に製造および雨天時製造や一日の製造時間の延長が可能となり、12%の生葉受け入れ量増加が見込まれる(表2)。
- 両低温保管システムを用いた場合、従来の製造法に比べててん茶の香気成分発揚が増加し、保管による色の低下が低くなる。香り緑茶、萎凋香緑茶、半発酵茶、発酵茶においても香気成分の発揚は増加する(データ省略)。
成果の活用面・留意点
- 閉鎖型は温度管理が容易であるがイニシャルコストが高い問題点がある。開放型はイニシャルコストを抑えられるが、保管庫内の温度が外気温の影響を受けやすい問題点がある。利用者がそれぞれの用途や目的に応じて選択する必要がある。
- 成果の内容・特徴3.については2022年時点の電気料金を基に算定している。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 農林水産省(戦略的プロジェクト研究推進事業:茶葉の低温保管システムの開発と作期拡大を可能とする新品種の育成)
- 研究期間 : 2018~2022年度
- 研究担当者 : 山田龍太郎、荻野暁子、勝野剛(静岡県農技研茶研セ)、渥美和彦(静岡県農技研茶研セ)、白鳥克哉(静岡県農技研茶研セ)、内村浩二(鹿児島県農開総セ)、崎原敏博(鹿児島県農開総セ)、柴田努(カワサキ機工株式会社)
- 発表論文等 :