40年を超える老木期のわい性台木を利用した「ふじ」における果実の生産特性

要約

40年を超える老木期のわい性台木を利用した「ふじ」では、相対的なわい化性と果実品質は成木期と同様の特性を有するが、樹冠面積当たりの収量は低下する。

  • キーワード : リンゴ、わい性台木、老木期、JM系台木
  • 担当 : 果樹茶業研究部門・果樹品種育成研究領域・落葉果樹品種育成グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

リンゴ栽培におけるわい性台木の利用は、省力で土地生産性が高いことから、約50年前より普及が進められている。一方で、栽培現場ではわい性台利用樹の老木化が進んでいるものの、老木期におけるわい性台リンゴ樹の特性は明らかでない。
そこで、本研究では40年生を超えているわい性台木を利用した「ふじ」樹の樹体特性、果実品質、収量性を調査し、同供試樹の成木期にとられたデータ(副島ら、2005)と比較することにより、わい性台リンゴ樹の生産性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 老木期における樹体の大きさの相対的な評価は成木期と同様であるが、「JM5」を除いて樹幅5.9~9.1mとなり、栽植距離の樹間4m×列間5mを大幅に超える(表1)。「JM5」でも樹幅は4.9mとなって、樹間距離を超過する(表1)。
  • 「JM5」および「JM7」を利用した樹では糖度16度以上の高品質果実の生産ができる(表2)。副島ら(2005)は成木期までの調査では「JM5」および「JM7」で他の台木品種よりも高糖度となると示しており、成木期と同様の特性を有する。また、酸度では「JM5」は「JM1」より、みつ入りでは「JM1」、「JM5」および「JM7」は「JM8」より高くなる。
  • 老木期の収量性について、「JM2」以外の台木では樹冠面積あたりの収量は成木期よりも低下する(図1)。

成果の活用面・留意点

  • 供試樹は1982-1983年に接ぎ木されて1985年に定植され、「JM5」を除いて定植後10年までは主幹形、それ以後は徐々に樹高を下げて下枝強調型の主幹形を経て、開心形となっている。「JM5」では樹高を下げた時期は不明であるが、現在は下枝強調型の主幹形となっている。また、成木期のデータは1997-2001年に、老木期のデータは2023-2024年に取得した。
  • 老木期の単位面積あたりの収量は、「JM1」で3.6t/10a、「JM5」で2.4t/10a、「JM7」で2.8t/10a、「JM8」で2.7t/10a、リンゴ台木盛岡9号で2.6t/10aで、すでに間伐を行った「JM2」で2.9t/10aとなる。しかし、樹体が大きくなりすぎており間伐が必要となっているため、計画的に間伐を行った場合、老木期の単位面積当たりの収量は現在の70~80%程度になると見込まれる。
  • 副島ら(2005)は「副島ら(2005)、園学雑、74(別1):252」を示す。

具体的データ

表1 老木期における樹体特性におよぼす台木の影響,表2 老木期における果実品質におよぼす台木の影響,図1 わい性台利用樹の収量におよぼす台木と生育段階の影響

その他

  • 予算区分 : 交付金
  • 研究期間 : 2023~2024年度
  • 研究担当者 : 堀礼人、森谷茂樹、末貞佑子、守谷友紀、清水拓、澤村豊
  • 発表論文等 : 堀ら(2026)園学研、25:1-13