要約
リンゴ「錦秋」における結果枝の長さ別の分布構成は、概ね短果枝20%、中果枝5%、長果枝75%であり、長さ30cm程の結果枝が最も多い。過着果や過繁茂を避けて長さ30cm以下の結果枝を利用することで、糖度や酸度の大きな変化を伴わずに平均果実重を300g以上にできると期待される。
- キーワード : リンゴ、短果枝、果実品質、果実重、着果量
- 担当 : 果樹茶業研究部門・果樹生産研究領域・果樹スマート生産グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
「錦秋」は温暖地域でもよく着色し食味に優れるリンゴ品種である。本品種は短果枝の着生がやや少なく、収量の確保に長果枝を利用する必要があるとされるが、新しい品種のため栽培学的知見が少なく、結果枝の長さが果実品質に及ぼす影響などは不明である。剪定等栽培管理法の発展に必要な知見を得るため、本研究では「錦秋」における結果枝の長さの分布構成や果実品質との関係を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 結果枝の長さ別の分布構成をみると、長さ30cm程の結果枝の頻度が最も多く、概ね短果枝(長さ5cm以下)20%、中果枝(長さ5.1~10cm)5%、長果枝(長さ10.1cm以上)75%である(図1)。
- 標準的な着果量の年(2022年、目標反収4.8t、葉果比79)には、結果枝が長いほど果実重が減少し、長さ30cm以上の枝では平均果実重が300gを下回る。剪定量を抑えて着果量を増やした年(2023年、目標反収8.0t、葉果比67)には、最大果実重自体が小さくなり、結果枝長による変化は認められなくなる(図2)。
- 酸度のように結果枝長によって有意に変化する品質項目もあるが(図3)、着果量にかかわらず、結果枝長による糖度等の品質の変化は果実間のばらつきと比べて小さい(図4)。
- 以上のように、結果枝長によって果実重以外の品質があまり変化しないため、過着果や過繁茂を避けた上で着果させる結果枝長を30cm以下に限定することで、平均果実重を300g以上に高められると期待される。
成果の活用面・留意点
- 試験は農研機構果樹茶業研究部門盛岡研究拠点(岩手県盛岡市)で実施し、成木5樹(JM1台、2022年時点で13年生、列間5m×樹間2.5mで栽植)を供試した。また、同一樹を異なる年にわたって観察し、結果枝長の分布構成は剪定後に調査した。
- 目標反収は、平均果実重を300g(2022年)および250g(2023年)と仮定して算出し、実際の収量は反収換算で4.9tおよび6.8tだった。
- 「錦秋」では、結果枝に占める長果枝の割合が高いため、着果量を増やしても葉果比は大きくなりやすい。2023年のデータにみられるように、剪定で長果枝を増やすと過繁茂により受光体勢が悪化し、葉果比が大きくとも果実品質は低下してしまうことに注意する。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金
- 研究期間 : 2019~2023年度
- 研究担当者 : 馬場隆士、守谷友紀、花田俊男、岩波宏
- 発表論文等 : 馬場ら(2025)園学研、24:161-168