北関東地域における子実トウモロコシ栽培に適する品種の早晩性

要約

北関東地域での子実トウモロコシ栽培には、極早生品種と早生品種が適する。極早生品種は含水率の低下が早く、絹糸抽出60日後で収穫時期の目安(雌穂含水率35%(子実30%相当))に達する。早生品種は極早生品種より高い収量が期待でき、絹糸抽出70日後で収穫時期の目安に達する。

  • キーワード : 子実トウモロコシ、収量、含水率、早晩性
  • 担当 : 畜産研究部門・畜産飼料作研究領域・飼料生産利用グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

子実トウモロコシの栽培にあたり、地域に適した品種を選定することは、栽培計画の策定や収量向上に役立つ。しかし、これまで飼料用トウモロコシは黄熟期に収穫されるホールクロップサイレージ利用を目的として栽培されてきたため、子実トウモロコシ利用を想定した黄熟期以降の完熟期に至る栽培期間に関する情報や、完熟期の収量に関する知見が不足している。そこで、本研究では飼料用トウモロコシ市販品種の収量と含水率の推移を調査し、主に北関東地域における子実トウモロコシ栽培に適した品種の早晩性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 雌穂乾物収量は、極早生品種(相対熟度(RM)93~100)に対して早生品種(RM113~115)と中生品種(RM125)は16~30%高く、早生品種と中生品種の絹糸抽出70日後における雌穂乾物収量は同等である(表1)。
  • 雌穂含水率35%(子実含水率30%)を収穫に適した含水率の目安とすると、極早生品種では絹糸抽出60日後に、早生品種では絹糸抽出70日後に収穫に適した含水率まで低下するが、中生品種では絹糸抽出70日後でも収穫目安の時期に達しない(表1)。
  • 播種時期が早いほど雌穂乾物収量は高く、雌穂含水率の低下は早い傾向がある(表1)。
  • 子実乾物収量と含水率においても、極早生品種は早生品種よりも含水率の低下が早く、絹糸抽出60日後に収穫時期の目安に達し、早生品種は極早生品種より収量が高く、絹糸抽出70日後に収穫時期の目安に達する(図1)。

成果の活用面・留意点

  • 子実トウモロコシ栽培に適する品種選定の参考として利用できる。
  • 本試験は農研機構畜産研究部門(栃木県那須塩原市)で実施したものである。

具体的データ

表1 雌穂乾物収量および含水率,図1 子実乾物収量および子実含水率(2018,2019年4月下旬播種の平均値)

その他