要約
アニマルウェルフェアに配慮した「日本型飼養管理」を定着させる目的の採卵鶏および養豚農家を対象としたアニマルウェルフェア飼養対応技術の手引きである。本手引きは生産者、自治体および生産者団体への配布を通じて生産現場への普及に用いることができる。
- キーワード : アニマルウェルフェア、飼養管理、手引き、採卵鶏、養豚
- 担当 : 畜産研究部門・動物行動管理研究領域・動物行動管理グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 普及成果情報
背景・ねらい
アニマルウェルフェア(AW)は世界の潮流であるが、国内の採卵鶏および妊娠豚の90%以上がバタリーケージとストール飼育であり、過密飼育や本能的行動を制限するなどの点に課題がある。一方で、畜産物の輸出拡大を図るためには、我が国のAWの水準を国際水準とする必要があり、農林水産省は2023年にWOAHコード(採卵鶏はその案)に基づき、新たな指針を示した。今後、AWに配慮した「日本型飼養管理」を定着させるため、AW飼養対応技術手引きを作成し、自治体や生産者団体への配布を通じて生産現場への普及を目指す必要がある。
成果の内容・特徴
- 本手引き(図1)は、養鶏、養豚、生産者と消費者によって構成されている。
- アニマルウェルフェア飼養管理導入の意志決定に活用できる生産者向け手引きである。
- 各施設の長所および短所を行動学、利用者の利便性、経済性の視点から説明することで、各生産者にとって取り組みやすい技術を掲載している(図2)。
普及のための参考情報
- 普及対象 : 採卵鶏生産者、養豚生産者、普及指導機関。
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 : 全国。
- その他 : 冊子体2,200部配布、配布先は47都道府県、WEB上でPDFを公開し、生産者に普及。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金、農林水産省(農林水産研究の推進:鶏及び豚の快適性により配慮した飼養管理技術の開発)
- 研究期間 : 2022~2024年度
- 研究担当者 : 矢用健一、嶋崎知哉、石田三佳、加藤博美、新村毅(東京農工大学)、芦沢咲知、菊嶋敬子、松下浩一(山梨県畜酪技術セ)、白石純一(日本獣医生命科学大学)、加瀬ちひろ(麻布大学)、竹田謙一(信州大学)、山上怜奈、保科和夫、水流正裕(長野県畜産試)、伊藤秀一、稲永敏明(東海大学)、伊藤哲也、松本晃、鎌田典彦、金田真和、須藤桃(NEC通信)、芦原茜(農水省農林水産技術会議事務局)、佐々木羊介(明治大学)、大橋匠(東京科学大学)、石田藍子、大森英之、井上寛暁
- 発表論文等 : 東京農工大学(2025)「鶏・豚のアニマルウェルフェアに対応した飼養管理の手引き」(2025年3月31日)