要約
10羽のスズメを飼育している施設内に、内部に餌をおいた2m×1m×1mの直方体の試験枠を設置し、上面に試験ごとに異なる11種類の糸状資材を30cm間隔で平行に張ると、どの糸においても張らない場合に比べ枠内への侵入頻度は下がるが、それらの色や素材によって侵入頻度に違いはない。
- キーワード : スズメ、鳥害、糸の色、糸の種類
- 担当 : 畜産研究部門・動物行動管理研究領域・動物行動管理グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
スズメの農作物被害は水稲や麦など大規模圃場での被害が多く、糸状のものを作物の上面に張る対策をしていることが多いが、これらの糸状資材の色や形、素材の違いによりスズメの侵入抑制効果に違いがあるかはわかっていない。
そこで、本研究では密度や餌資源を一定にした条件で検証が可能な飼育環境下で、鳥害対策用資材として市販されている糸類に加えて、同様の用途に使えると考えられる一般的な糸やテープを用い、スズメに対して色や形状による侵入抑制効果に違いはあるのかを明らかにする。
成果の内容・特徴
- 幅5m、長さ15m、高さ3mのトンネル型の飼育施設を用い(図1)、スズメ10羽を群れ飼育して行った試験である。幅2m、奥行き1m、高さ1mの直方体の試験枠の側面にスズメが通り抜けられない網目のネットを張り、試験中は試験枠内にのみ餌を設置してスズメの行動をビデオで記録する。糸の種類1つにつき5回の試験を行い、4時間の試験を1日に1回行う。
- 試験に用いた糸状資材は、透明テグス、黒色ワイヤー、ピンク水糸、黒色防鳥糸、赤銀防鳥テープ、金銀防鳥テープ、黄色防鳥糸を、2018年は白ミシン糸、蛍光赤水糸、白たこ糸、蛍光黄緑水糸である(表1)。
- どの糸を張っても糸を張らない場合と比べ侵入頻度は約半分となるが、糸の色や種類による違いはない(図2)。
- スズメの圃場への侵入対策用に糸状資材を選ぶ際には、糸の色や種類は侵入抑制効果に影響しないため、作業性、経済性などそれ以外の要素から選ぶとよく、野鳥が絡まる危険性や農業従事者の作業の安全性を考慮すれば、目立つ色かつ太い糸がよい。
成果の活用面・留意点
- この試験は飼育室での試験であり、野外や大圃場でスズメに同様の侵入阻害効果があるかを明らかにするためにはさらなる試験が必要である。
- 糸の間隔を狭くするほど侵入抑制効果は高くなる(2020年研究成果情報、「糸を10cm~20cm間隔で上面に張ることでスズメの侵入頻度を減らすことができる」)。
- 中央農業研究センター動物実験委員会において承認を受けている[承認番号:H28-27-01、H30-29-01]。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金
- 研究期間 : 2016~2024年度
- 研究担当者 : 山口恭弘
- 発表論文等 : 山口(2024)動物の行動と管理学会誌、60:147-155