簡易な密封によりトウモロコシ子実を無乾燥・無破砕で貯蔵するフレコン内袋法

要約

フレコン内袋法は、飼料用のトウモロコシ子実を乾燥せずに丸粒のままフレコン内袋に密封して通年貯蔵する方法である。フレコン内袋の上端をまとめ、足場パイプ等で巻き取るなどすることで簡易な密封が可能であり、一時開封や再密封作業も省力化できる。

  • キーワード : トウモロコシ子実、密封、貯蔵、乳酸発酵、フレキシブルコンテナ
  • 担当 : 畜産研究部門・畜産飼料作研究領域・飼料生産利用グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 普及成果情報

背景・ねらい

水田転換畑等で収穫されるトウモロコシ子実は、耕種農家が所有する機械・施設で調製・保管する必要がある。また、イネやその他転作作物との作業競合の回避や調製貯蔵の低コスト化の観点から、乾燥機や燃料を使わずに簡易に調製貯蔵できる技術が求められている。
そこで、本研究では、耕種農家が飼料用のトウモロコシ子実を無乾燥・無破砕のままフレキシブルコンテナ(以下、フレコン)の荷姿で屋外でも通年貯蔵できるフレコン内袋法を開発するとともに、簡易な密封技術についても考案する。

成果の内容・特徴

  • フレコン内袋法は、フレコンに内袋を設置してその中にトウモロコシ子実を密封する方法であり、トラックの荷台にフレコンと内袋を配置することで収穫後のコンバインからトウモロコシ子実を直接荷受け可能である(図1左)。また、子実詰込み後、内袋を密封した後は、フレコンの荷姿でそのまま所定の倉庫や屋外の貯蔵場所へ搬出、貯蔵できる(図1右)。
  • 開発当初、内袋の密封方法は、内袋の端を捻じり上げ、根元で縛る方法であったが、その後に開発された簡易密封法では、長さ1m、重さ2kg程度の足場パイプ(適切な重さと入手が容易であれば材質や形状は自由に選定できる)を用いて、内袋の上端をまとめて巻き取る(図2、作業①)、足場パイプ等を捻じって内袋の口を十分に絞る(同図、作業②)、絞った状態のまま足場パイプ等を内袋の上に置く(同図、作業③)という一連の作業により、省力的に密封可能である。
  • 含水率が30%程度のトウモロコシ子実であれば、簡易密封によってトウモロコシ子実の乳酸発酵が進んでpHが下がり、かびのコロニー形成単位が検出限界未満となる。
  • トウモロコシ子実の詰込み後数日間は内袋が膨張する場合があるが、足場パイプを簡易密封時と逆回転して一時開封してガスを逃し、再密封することが可能である。膨張による内袋の損傷のリスクは小さく操作も容易である。
  • 使用した内袋は、素材が低密度ポリエチレンで厚さ×幅×深さ0.08×1,900×3,000mmである。フレコンは屋外でもトウモロコシ子実の通年貯蔵は可能だが、日射による劣化が激しい場合は吊り紐を利用した運搬が困難となることがあるため、日射が当たる屋外で貯蔵する場合は耐候性フレコンの使用を推奨する。フレコン内袋法に関連する資材等のトウモロコシ子実1kgあたりコストは、通常のフレコンを使用した場合5.1円、耐候性フレコンの場合は7.1円となる(表2)。

普及のための参考情報

  • 普及対象 : トウモロコシ子実生産者、TMRセンター。
  • 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 : 水田転換畑でトウモロコシ子実生産の100ha。
  • その他 : 簡易密封は、発酵TMRの原料利用等に向けたトウモロコシ子実の粉砕品にも応用が可能である。また、貯蔵後の子実を数回に分けて利用する場合にも有効である。子実水分が乾燥品より高く開封後は変敗しやすいため、速やかに加工できる利用者(TMRセンターや自家配合を行う畜産農家)が必要である。屋外における子実トウモロコシの貯蔵にあたっては、獣害対策を行う必要がある。

具体的データ

図1 トラック荷台での荷受け(左)と屋外のストックヤードでの貯蔵(右),図2 簡易密封作業,表1 密封方法と貯蔵前後のトウモロコシ子実の品質,表2 フレコン内袋法に関連する諸経費の試算

その他

  • 予算区分 : 農林水産省(農林水産研究推進事業 : 畜産生産の現場に濃厚飼料を安定・低コストに供給できるシステムの開発)
  • 研究期間 : 2021~2025年度
  • 研究担当者 : 阿部佳之、住田憲俊、松尾守展、小林寿美、遠野雅徳、神園巴美、赤松佑紀、佐々木梢、大室健治、野口周、嶝野英子、藤竿和彦
  • 発表論文等 :