褐毛和種高知系の肉質に関する遺伝子多型のアレル頻度

要約

褐毛和種高知系集団において、肉質に関連する11遺伝子の多型のうち、8遺伝子の多型では、アレル頻度が一方に偏っていないため、選抜マーカーになる可能性がある。

  • キーワード : 褐毛和種高知系、アレル頻度、遺伝子多型、肉質
  • 担当 : 畜産研究部門・食肉用家畜研究領域・食肉用家畜モデル化グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

褐毛和種高知系は、和牛の1品種である褐毛和種の中でも特に高知県でのみ飼養されている系統である。褐毛和種高知系は、黒毛和種と比較して赤身が多く、放牧適性を有するなどの特徴をもっている。しかし、飼養頭数が約2,500頭と非常に少ないことから、褐毛和種高知系の保存及び改良のためには、本系統の遺伝的特性を明らかにし、希少系統に適した育種戦略が必要である。本研究では、褐毛和種高知系の遺伝的特性を把握するため、他品種において肉質との関連が確認されている11遺伝子の多型(遺伝子内で一部の塩基配列が異なる複数の型が存在すること。それぞれの型をアレルと呼ぶ。)についてアレル頻度を調査する。

成果の内容・特徴

  • 本研究で調査したのは、脂肪酸組成、イノシン酸量、肉のやわらかさ及び格付項目に関連する多型を有する11遺伝子(SCD、FASN、SREBF1、LEP、NT5E、CAPN1、CAST、S1PR1、FABP4、SDR16C5及びNCAPG)(表1)について、褐毛和種高知系100頭の集団におけるアレル頻度である。
  • 11遺伝子の内、8遺伝子(SCD、FASN、SREBF1、LEP、NT5E、CAPN1、CAST(c.554A>G)及びS1PR1)の多型では、アレル頻度が0.2から0.8の範囲にあり、一方の型に偏っていないことから、これらの多型は選抜マーカーになる可能性がある(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 8遺伝子の多型の効果は、他品種でのみ確認されているため、褐毛和種高知系の改良への利用にあたっては、事前に褐毛和種高知系においてこれら多型と形質値との関連を調査し、形質値への効果を確認する必要がある。

具体的データ

表1 肉質関連の11遺伝子の多型,表2 8遺伝子のアレル頻度

その他

  • 予算区分 : その他外部資金(JRA畜産振興事業)
  • 研究期間 : 2021~2024年度
  • 研究担当者 : 大江美香、小林栄治、濱田和希(高知県畜試)、中西慶太(高知県畜試)、竹中由布(高知大)、松川和嗣(高知大)
  • 発表論文等 : 大江ら(2025)動物遺伝育種研究、53:11-20