要約
黒毛和種集団で経腟採卵-体外受精(OPU-IVF)により得られる形質(OPU-IVF関連形質)において遺伝的能力を評価したところ、遺伝率は0.22以上であり、遺伝的改良が可能である。
- キーワード : 黒毛和種、OPU-IVF関連形質、遺伝的パラメータ、血統情報、育種改良
- 担当 : 畜産研究部門・食肉用家畜研究領域・食肉用家畜モデル化グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
牛生体の卵巣から、卵丘細胞-卵子複合体(COC)を吸引採取したのち、体外受精により胚を作製する技術であるOPU-IVFは、特定の供卵牛をと畜することなく繰り返し採卵と胚生産ができる技術として、黒毛和種の生産現場で活用されている。しかしながら、OPU-IVF関連形質は個体差が大きいことから、OPU-IVF関連形質の予測技術が求められているが、黒毛和種では確立されていない。また、黒毛和種のOPU-IVF関連形質において遺伝的能力評価の開発に係る研究は見当たらない。そこで、黒毛和種供卵牛において血統情報を用いた検討を行う。具体的に、OPU-IVF関連形質には、OPU関連4形質(推定卵数、回収卵数、Aランク卵数およびIVF供試卵数)、IVF関連5形質(卵割胚数、8細胞期胚数、桑実胚数、胚盤胞数および優良胚数)を採用し、遺伝的改良の可能性を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 1つの県で繋養されている黒毛和種供卵牛約270頭のOPU-IVF関連形質の記録(のべ約1,500件)および血統情報から算出した遺伝的能力である。
- 黒毛和種のOPU-IVF関連形質で初めて育種改良の可能性を示した結果である。
- この黒毛和種集団のOPU-IVF関連形質は、遺伝率が0.22~0.39と他の繁殖形質と比べて高く、遺伝的改良が可能である(表1)。
成果の活用面・留意点
- 黒毛和種のOPU-IVF関連形質の遺伝的能力評価は有用である。
- 1つの県のデータであるため、全国またはその他の県で実施する場合は、改めて検討が必要である。
具体的データ

その他
- 予算区分 : その他外部資金(伊藤記念財団研究助成)
- 研究期間 : 2024年度
- 研究担当者 : 小山秀美、羽柴日那乃(広島県畜産技術セ)、柴田愛梨(広島県畜産技術セ)、荒川愛作、日高健雅(広島県畜産技術セ)、西尾元秀
- 発表論文等 : Oyama H. et al. (2025) Anim. Sci. J. 96:e70079