要約
DBA/2Jマウスは、若齢で早期に難聴が進行する系統である。DBAマウスの難聴進行抑制に、抗酸化能が高い含硫アミノ酸として知られるN-アセチルシステイン(NAC)の摂取が有効である。
- キーワード : 難聴抑制、マウスモデル、DBA/2Jマウス、NAC
- 担当 : 畜産研究部門・食肉用家畜研究領域・食肉用家畜飼養技術グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
我が国は高齢者の割合が増加しており、相対的に加齢性難聴者が増加している。また、若者においても、イヤホンやヘッドホンなどの利用が拡大し、音響性の難聴リスクが増加しているものと考えられる。難聴の進行の原因として、加齢や音響障害による内耳蝸牛の有毛細胞や聴覚神経細胞の減少が多く報告されている。一旦、これらの細胞が減少してしまうと、回復が難しく、有効な治療薬も存在しない。有毛細胞や神経細胞のダメージを軽減し、これらの細胞の減少を防ぐことにより、難聴リスクが低下するものと考えられる。そのため、抗酸化能が高い食品素材などが、難聴予防に有効であると考えられている。
そこで本研究では、DBA/2Jマウスに対するNACによる難聴軽減効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 進行性の難聴が早期に進行するDBA/2Jマウスを利用し、経時的に聴性脳幹反応試験を実施することで難聴の進行を評価できる。
- 5週齢から15週齢程度のマウスで、8kHzの純音の聴覚閾値を測定することで、難聴進行が大きく進行する状態を評価することができる(図1)。
- NAC(図2)の1%水溶液を自由飲水させることで、DBA/2Jマウスの難聴進行を有意に軽減できる(図1)。
成果の活用面・留意点
- 本試験系を用いることで、早期の難聴進行の軽減に有効な食品素材の探索や、メカニズムの解明が可能である。
- ヒトの難聴予防にNACを利用する際は、別途、ヒト試験による検証が必要である。
- 先天性の難聴、加齢性難聴、音響障害性難聴は、それぞれメカニズムが異なる可能性があるため、それぞれの目的でNACを利用する場合は、目的に応じた試験系で個別検証する必要がある。
具体的データ

その他