イネ縞葉枯病の薬剤散布適期連絡システム

要約

圃場の位置、苗の移植日、品種の情報ならびに農研機構メッシュ農業気象データシステムを利用して、水田一筆単位で水稲の生育予測とヒメトビウンカの発生予測を行い、イネ縞葉枯病の薬剤散布適期を判定するシステムである。

  • キーワード : イネ縞葉枯病、ヒメトビウンカ、薬剤防除、防除適期、水稲
  • 担当 : 植物防疫研究部門・作物病害虫防除研究領域・病害虫防除支援技術グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 普及成果情報

背景・ねらい

イネ縞葉枯病はヒメトビウンカが媒介するイネ縞葉枯ウイルスによって引き起こされる。幼穂形成期までに発生するヒメトビウンカを減らすことで被害を効果的に抑えることが可能であり、そのための薬剤散布適期は成虫の産卵開始~1週間である。一方、ヒメトビウンカの水田侵入時期や水稲の移植時期は、年次や圃場によって異なるため、防除適期も年次ごとに、また、同一地域であっても圃場ごとに異なる。そこで、圃場の位置、苗の移植日、品種の情報ならびに農研機構メッシュ農業気象データシステムを活用して、水田1筆単位で防除適期を判定するシステムを開発する。

成果の内容・特徴

  • イネ縞葉枯病の被害軽減には、苗の移植から幼穂形成期までに発生するヒメトビウンカを防除する。防除適期はヒメトビウンカの産卵開始~1週間であり、この時期の防除はヒメトビウンカの個体数を効率よく抑え、イネへのウイルス感染を未然に防ぐことができる(図1)。
  • 本システムは、圃場の位置、苗の移植日、品種の情報と、農研機構メッシュ農業気象データを利用して、ヒメトビウンカの発生予測と水稲の生育予測を行い、イネ縞葉枯病の薬剤防除適期を判定する。スマートフォン等から本システムを利用して、対象となる圃場におけるイネ縞葉枯病の薬剤散布適期を簡単に知ることができる。
  • システムにログイン後、地図上から圃場の位置を選択し、次の画面で移植日と品種を選択して診断ボタンをタップすると、防除適期を表示する(図2左、中)。
  • 判定結果の画面から、ヒメトビウンカの発生予測と水稲幼穂形成期の予想結果を確認できる。これにより、薬剤散布適期の根拠と妥当性を確認することができる(図2右)。

普及のための参考情報

  • 普及対象 : 栽培管理支援サービス等を展開する民間企業
  • 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 : 民間企業の栽培管理支援サービス等を介してイネ縞葉枯病の発生地域への普及が見込まれる。
  • その他 : 本システムは、非営利目的に限り、利用者自身の責任で利用することができる。利用を希望する場合は代表連絡先まで連絡されたい。また、民間企業は農研機構からの許諾により本システムを商用で生産者等に提供することが可能であるが、本システムで利用する農研機構メッシュ農業気象データシステムは営利目的での利用を認めていないため、民間企業が提供する同等の気象データを利用する。

具体的データ

図1 イネ縞葉枯病の防除適期の考え方。,図2 イネ縞葉枯病薬剤散布適期判定システムの利用画面例。

その他