要約
ドローン空撮技術および三次元化技術を用いた農地基盤モニタリングの考え方・流れをまとめたマニュアルである。圃場整備前後、災害発生時等の農地基盤モニタリングが有効な場面を想定し、ドローン等を用いた農地基盤データ取得の流れと危険・変状箇所などの把握の方法をまとめている。
- キーワード : UAV、圃場整備、三次元化技術、危険箇所、変状箇所
- 担当 : 農村工学研究部門・農地基盤情報研究領域・空間情報グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 普及成果情報
背景・ねらい
耕作道や圃場への進入路、障害物などを含めた圃場周辺の農地基盤の危険・変状箇所等の把握は、これまで個々の農業者や土地改良区職員などの日常的な作業・見回りの中で都度対応が行われてきた。農地集積や規模拡大の更なる進行にともない、現場において農地基盤の状態を正確に把握して作業に臨むことは困難となることが予想される。こうした状況の下で、農作業の安全の確保や各種スマート農機の円滑な走行等を実現していくためには、網羅的かつ定期的な農地基盤の状態把握が必要となる。
本マニュアルでは、省力的に網羅的かつ定期的な農地基盤の状態の把握が可能となるドローン空撮技術および三次元化技術を活用した農地基盤モニタリングの考え方と流れをまとめている。
成果の内容・特徴
- 本マニュアル(図1)では、農地基盤モニタリングの必要性と考え方のほか、実際にドローンによって農地基盤データを取得する手順を解説する。また、農地の基盤条件が大きく変化する機会である圃場整備前後における農地基盤モニタリングを紹介し、農地基盤の危険箇所や変状箇所の把握手法を取りまとめている。
- 図2は本マニュアルで対象とする農地基盤を模式図(断面図・平面図)で示している。
- 図3に本マニュアルにおける農地基盤モニタリングの考え方を示している。横軸は時間(経年)を表しており、維持管理、圃場整備や災害などの事象に対するモニタリングや現地調査のタイミングを整理している。圃場周辺の農地基盤は、水路や一部の農作業道を除けば、概ね土構造物であり、時間の経過とともに変化(劣化)していくものである。農地基盤モニタリングは、ある一時点の現状を把握・評価する一方で、経年的な変化をモニタリングしていくことを目的としている。あわせて、圃場周辺の農地基盤が大きく変化するタイミングとして、圃場整備と災害及びその後の災害復旧の2つを想定しており、圃場整備については、情報化施工などを通じて、圃場周辺の三次元データが取得されることも想定している。
- 図4は、本マニュアルで紹介するドローン等を用いた農地基盤データの取得の流れを示したものである。ドローンを用いて撮影した空中写真等を用いて、三次元点群データなどの三次元データの生成をおこない、三次元データからGISなどを用いた解析により、勾配図や陰影起伏図、オルソモザイク画像などの農地基盤データを出力し、農業インフラデジタルプラットフォームに格納するなどの方法で、データを蓄積する。
普及のための参考情報
- 普及対象 : 農地基盤の維持管理・整備に携わる土地改良区職員、行政職員(農業土木技術者)。
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 : ドローン等を活用した農地基盤の点検・維持管理を行おうとする地区。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金、農林水産省(スマート農業技術の開発・実証プロジェクト)
- 研究期間 : 2020~2024年度
- 研究担当者 : 栗田英治、篠原健吾
- 発表論文等 :
- 栗田、加藤(2021)農業農村工学会誌、89:7-10
- 栗田(2024)機械化農業、3:21-24
- 栗田ら(2026)農業農村工学会誌、94(2):23-26
- 農研機構(2025)「ドローンを活用した農地基盤モニタリング」(2025年3月31日)