砂と丸太打設による複合地盤の強度と変形の特徴

要約

複合地盤(炭素貯留可能な丸太を打設した砂地盤)の強度は、丸太の打設間隔が狭まり、打設本数が増えると大きくなる。複合地盤の強度パラメータについても、丸太の打設により大きくなる。また、複合地盤の変形は、丸太の直径の10倍以下の間隔で打設すると、地盤の変位が抑制される。

  • キーワード : 丸太打設、地盤補強、法面補強、間伐材利用、炭素貯留
  • 担当 : 農村工学研究部門・農地基盤情報研究領域・地域防災グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

豪雨や地震などの自然災害により、農業用ため池やその接続水路などの農業水利施設においても法面および斜面崩落等の被害が発生している。このような被害に対して、対策工法の一つとして地域で生産され現地調達可能な丸太(間伐材)を利用した古くからある対策が近年注目されている。一例として佐賀平野では、農業用水の貯留や送水するためのクリーク(水路)法面に間伐材を利用し木柵工として整備している。丸太は安価かつ地産地消で施工でき、腐朽しない限りは炭素貯留にも貢献できる。補強の必要な層厚が浅い約5mの地盤・法面の補強対策として有効であると考えられる(図1)が、補強効果の評価法は明らかになっていない。そこで、模型実験や三軸圧縮試験により、砂地盤に丸太を打設した地盤での強度や変形について明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 図2は、丸太打設による複合地盤の補強効果を検討するための載荷実験である。土槽と「壁」で挟まれた部分に砂地盤を作成し、砂地盤の中に丸太を打設している。(図2上)。「壁」は固定せずに自重だけで自立させている。図2下に示すように、丸太の打設間隔を、丸太の直径の5倍(以下、打設本数「多」)、10倍(以下、同「中」)、15倍(以下、同「少」)としている。丸太を打設した砂地盤の上部からおもりで載荷し、丸太を打設した地盤を変形させ、補強効果を調べている。
  • 図3は、打設本数「多」「中」「少」と丸太打設無し(以下、無対策という)の地盤上面に載荷したときの、荷重と変位を測定した結果である。丸太を打設すると、無対策と比べて上載荷重の最大値が増加する。また,丸太の打設間隔が狭く打設本数が多くなるほど、上載荷重の最大値は大きくなり、強度が増す。さらに、打設本数が増えると、大きく変位しても崩壊に至らず、「粘り強さ」が発揮される。
  • 図4は、図3で水平変位が4mmを超えた時点の地盤の写真を示す。無対策では、地表面が傾き、水平方向に大きく変位するのに対し、丸太を打設すると打設本数が多くなるほど変位が小さくなる。丸太打設本数「少」では地表面が傾くのに対し、打設本数「多」、「中」では、ほとんど変位しない。このことから、打設本数「中」程度の間隔で対策を実施すると、地盤の変位が抑制される。
  • 丸太を打設した直径30cmの供試体を用いた三軸圧縮試験でも、打設間隔が狭く打設本数が増加するほど、強度は大きくなる(図1右)。また、強度パラメータである内部摩擦角は打設本数の影響をほとんど受けないのに対し、見かけの粘着力は、打設本数の増加に伴い増加する。このことから、見かけの粘着力を用いることで簡易な強度設計ができる可能性がある。また、複合地盤では、変形係数E50が無対策と比較して大きくなる傾向があり、変形しにくい地盤となる。

成果の活用面・留意点

  • 本成果は、丸太打設による補強効果として、実際の現場を再現する境界やスケールでの検証ができていない。このため、現場適用する場合には複合地盤の変形等を観測により確認する必要がある。

具体的データ

その他

  • 予算区分 : 交付金、民間資金等(資金提供型共同研究)
  • 研究期間 : 2021~2024年度
  • 研究担当者 : 正田大輔、沼田淳紀(一般社団法人日本木材地中活用推進協会/ソイルウッド)、村田拓海(飛島建設株式会社)、眞木陸
  • 発表論文等 :
    • 正田ら(2021)土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)、77:I_31-I_37
    • 正田ら(2024)第23回木材工学研究発表会、141-145