要約
集排汚泥と食品廃棄物の混合メタン発酵において、C/N比が低め(12.2)のおからを原料に用いる場合、安定的な発酵が可能なおからの混合割合(湿重量比)は37.5%以下である。消化液の農地利用を想定し、C/N比が低い食品廃棄物等を混合メタン発酵の原料に用いる際の参考となる。
- キーワード : 資源循環、集排汚泥、混合メタン発酵、豆腐製造副産物、C/N比
- 担当 : 農村工学研究部門・資源利用研究領域・地域資源利用・管理グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
農業集落排水汚泥(集排汚泥)と食品廃棄物の混合メタン発酵および消化液の液肥利用は、再生可能エネルギーの生産、農業集落排水施設の維持管理費削減、地域の廃棄物処理量およびCO2排出量削減、資源循環の同時実現に貢献する。また、消化液の農地還元の観点からは、窒素含有率が高い、すなわちC/N比が低い原料の利用は有効であり、豆腐製造副産物のおからはこれに該当する。しかし、C/N比が低い原料の混合割合が高くなるとメタン発酵の阻害が生じる懸念がある。そこで本研究では、集排汚泥を湿重量比で原料全体の50%とし、残りをおからと生活圏で必ず発生する食品廃棄物である生ごみとして、これらの混合割合を変えた連続式メタン発酵試験を実施し、各条件でのバイオガスの発生特性や発酵槽内液の性状の把握により、おからの混合可能割合を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 集排汚泥(含水率98%)、生ごみ、おから(それぞれ、含水率85%)の中温条件の混合メタン発酵において、おからの混合割合を段階的に上げていく方法で、安定的な発酵が可能なおからの混合割合は湿重量比で37.5%以下である。一般的に、メタン発酵が順調に進行しているときは、バイオガス発生率は一定で、バイオガス中のメタン濃度は55~60%程度、発酵槽内のpHは一定で、揮発性脂肪酸(VFA)濃度は低い。おからの混合割合が0~37.5%のとき、バイオガス発生率は概ね一定で(図1(a))、メタン濃度は55~60%程度の範囲にあり(図1(b))、発酵槽内のpHは一定で(図1(c))、VFA濃度は低く(図1(d))、安定的な発酵が行われていると考えられる。
- おからの混合割合が50%になると、メタン発酵が不安定化する。おからの混合割合が50%のとき、バイオガス発生率およびメタン濃度はともに低下し(図1(a)、(b))、メタン濃度は安定的な発酵が行われている時の値を下回る(図1(b))。また、発酵槽内のpHの値は日単位で変動しながら低下し(図1(c))、VFA濃度は試験後半で3,000mg/L以上となり(図1(d))、0.8以上のときに発酵不良が生じると報告されている「VFA濃度/アルカリ度」の値は試験後半に0.8を超えており(図1(d)と(e)より算出)、おからの混合割合が50%のときに発酵阻害が生じている可能性がある。
- おからの混合割合が50%のときの発酵の不安定化はアンモニアによるものである可能性がある。おからの混合割が50%のとき、発酵槽内の全アンモニア態窒素(TAN)濃度は1,800~2,100mg/Lになる(図1(f))。既往の研究において、TAN濃度1,210~2,360mg/Lのときにアンモニアによる発酵の不安定化が生じたという報告もあることから、おからの混合割合が50%のときの発酵の不安定化の原因がアンモニアである可能性は否定できない。
成果の活用面・留意点
- 本研究で得られたデータは、消化液の農地利用を想定し、C/N比が低い食品廃棄物等を混合メタン発酵の原料として利用を検討する際の参考となる。
- メタン発酵においては、発酵槽内の汚泥の馴養により、アンモニア耐性が強くなることが知られており、本研究のようにおからの混合割合を段階的に増加させていき、発酵槽内のアンモニア態窒素濃度を徐々に高くなるような方法ではなく、発酵槽内のアンモニア態窒素濃度が急激に上昇するような原料の投入方法をとる場合は、安定的に発酵が可能なおからの混合割合は37.5%よりも低くなる可能性があり、注意が必要である。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 民間資金等(資金提供型共同研究)
- 研究期間 : 2020~2023年度
- 研究担当者 : 折立文子、中村真人、藤田睦、柴田浩彦(地域環境資源センター)、蒲地紀幸(環境省)、是川和宏(地域環境資源センター)、山岡賢(琉球大)
- 発表論文等 :