通気性のある農業用被覆資材の保温性能を熱収支解析により明らかにする手法である。本手法を用いると、資材の通気伝熱係数とそれ以外の伝熱係数を分けて算出可能であり、資材開発時に、どの要素を改善すると保温性能の向上に効果的かが判断できる。
施設園芸で利用されるエネルギーの大部分は、冬季の温室暖房によるものである。したがって、施設園芸分野で省エネや脱炭素化を実現するためには、暖房エネルギー消費量を削減することが重要である。温室の暖房負荷を減らす方法として、保温カーテンの利用がある。一般的に、保温カーテンは、1層で暖房負荷が約3割削減、2層で約5割削減につながることが知られており、省エネに重要な役割を果たしている。さらなる省エネ化のため、より保温性能の高いカーテン資材の開発が望まれるが、標準的な性能評価手法がないのが現状である。現在、利用されている保温カーテンの多くは、可動性を良くするため、フィルムや布が編込まれた形状をしており、通気性がある(図1)。これまで、通気性のない資材については、長波放射吸収率の値から熱貫流係数の推定が行われてきたが、長波放射吸収率は、通気によって生じる伝熱には無関係であるため、上述した手法により、カーテン資材の保温性能を評価することはできない。したがって、カーテンなどの通気性のある資材の保温性能を評価する手法の開発が、資材開発の加速化のために必要である。そこで本研究では、通気のある資材の通気伝熱係数(Wm-2°C-1)と通気以外の伝熱(放射伝熱および対流伝熱)係数(Wm-2°C-1)を、熱収支解析により算出し、資材の性能評価へ利用可能か検証する。
kall=kven+k (式1)
下記に具体的な測定手法を示す。Qh=Qw+Qt (式2)
Qhはヒーター発熱量(W)、Qwは加熱室壁面を通過する伝熱量(W)、Qtは保温カーテンを通過する伝熱量(W)を示す(図2)。式2は、説明の都合上一部簡略化している。Qt以外を実測し、式2に代入することでQtを算出する。そして、Qtを資材面積(m2、A)および室間の気温差(Tin-Tout)で割りkallを算出する(式3)。kall=Qt/((A×(Tin-Tout))) (式3)
kven=((VR/SV)×(Hin-Hout)/(Tin-Tout))/3600 (式4)
VRはカーテン通気率(m3m-2h-1)を示す。SVは空気の比容積(m3kg-1)を示す。Hin-Houtは、室間のエンタルピー差(Jkg-1)を示す。kallからkvenを差し引き、kを算出する(式1)。