土量計算・施工手順設定機能を搭載した超効率3次元CADソフトウェア

要約

農地整備用の超効率的な3次元CADソフトウェアである。土量計算機能と施工ステップの可視化を搭載し、田面などの標高設計に掛かる作業時間を従来比1/3以下に短縮が期待できる。加えて、施工手順に応じた必要土量の見積もりが可能で、施工計画の立案を強力に支援できる。

  • キーワード : 農地整備、3次元モデル、CAD、土量計算
  • 担当 : 農村工学研究部門・農地基盤情報研究領域・空間情報グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 普及成果情報

背景・ねらい

R6年度の普及成果情報として公開した「従来の1/10以下の作図時間で直感的に操作できるほ場3次元モデル自動生成ソフトウェア」は、農地の3次元モデルを簡便に作成できるツールである。しかし、モデル設定には田面や水路などの標高設計が必要であり、そのためには土量計算機能が不可欠である。
そこで、これまでの研究成果である「3次元モデル自動生成ソフト」に土量計算機能と施工手順設定機能を搭載する。本ソフトは、各種構造物の3次元形状をパラメタで規定しているため、パラメタ値を変更するだけで所定の3次元形状を瞬時に生成できる。また今回搭載した土量計算機能により、形状変更後すぐに土量計算を実行できるため、田面等の標高設計に伴う反復作業を大幅に短縮でき、従来比で作業時間を1/3以下に削減することが期待される。
加えて、施工手順設定機能を搭載し、「どの順番でどの工種を施工するか」をシミュレーション可能である。施工段階ごとに必要な土量を算出できるため、効率的な施工計画の立案を強力に支援できる。
なお、本ソフトウェアの使用条件として、大容量データを扱う場合はメモリ32GB以上の高性能ノートPCを推奨する。

成果の内容・特徴

  • 本ソフトは、農地整備事業を対象として、田面等の標高設計に伴う反復作業を大幅に削減できる機能を搭載した超効率3次元CADソフトウェアである。パラメトリックモデリング手法を採用することで、ユーザーは2次元図面を作図するだけで、簡易に3次元モデルが生成できるほか、形状を規定するパラメタを変更するだけで、瞬時に形状を生成できる(図1)。
  • 土量計算機能では、現況の3次元形メッシュと計画の3次元メッシュの体積差分をプリズモイダル法により算出できる。ユーザーは予め設定した領域あるいはマウス操作で指定した領域に対して、盛土量および切土量のほか、法面仕上げ面積などを出力できる(図2)。
  • 施工手順設定機能では、ユーザーが各工種の施工順序を任意に設定できる。設定後に施工順序に併せたメッシュが生成され、施工順序をコマ送りで可視化できる(図3)。
  • 図4に示すように、用地境界ごとに土量計算結果を画面上に表示できる。これにより、ユーザーは画面を確認しながら、地区全体の盛土量と切土量のバランスを考慮し、田面標高などのパラメタを設定することが可能である。さらに、土量計算結果は用地境界ごとに算出された数量をExcel形式でエクスポートできるため、外部での集計や資料作成にも容易に対応できる。
  • ※プリモイダル法とは、高さの異なる2つの三角網(TIN)メッシュデータを用いて、対応するメッシュ間に鉛直方向の柱状体(プリズム)を形成し、その体積を累積することで高精度な土量を算出する方法である。メッシュを利用した土量計算の中でも精度が高く、広く採用されている。

普及のための参考情報

  • 普及対象 : 国、地方自治体、設計コンサルタンツ、施工業者。
  • 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 : 農地整備事業の実施地区(5,000ha/年程度)。
  • その他 : 本ソフトウェアは農研機構との利用許諾により使用可能である。今後、農地整備事業における業務プロセス統合に向けた機能拡充を行う予定である。

具体的データ

図1 パラメトリックモデリング手法により生成した農地の3次元モデル,図2 現況地形と計画の3次元メッシュに基づいた土量計算機能,図3 施工手順設定機能,図4 用地境界毎の土量計算結果集計例

その他

  • 予算区分 : 交付金、復興庁(福島国際研究教育機構における農林水産研究の推進 : 土地利用型農業における超省力生産技術の技術開発・実証)
  • 研究期間 : 2023~2025年度
  • 研究担当者 : 松島健一、吉村亜希子、篠原健吾、藤田侑希
  • 発表論文等 :
    • 松島「数量算出方法、数量算出装置および数量算出プログラム」特開2025-78571(2025年5月20日)
    • 松島「地表面データ生成方法、地表面データ生成プログラム、及び地表面データ生成装置」特開2025-78572(2025年5月20日)
    • 松島「地表面データ生成方法、地表面データ生成プログラム、及び地表面データ生成装置」特開2025-78574(2025年5月20日)