シュンギクの一斉刈りとり再生栽培における最適な収穫時草高と刈りとり高さ

要約

シュンギクを水平に刈りとり一斉に収穫する再生栽培では、春あるいは秋に定植すると3回の収穫が可能であり、草高30cmの時に刈りとり高さ10cmで収穫を繰り返すと高収量が得られる。

  • キーワード : シュンギク、一斉刈りとり、再生栽培
  • 担当 : 野菜花き研究部門・露地生産システム研究領域・露地野菜花き生産技術グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

シュンギクの栽培においては、主枝を摘みとった後に生育する側枝を順次摘みとる栽培方法がある。この方法では手作業で選択的に収穫している。そこで、作業の省力化を目的に将来的な機械による一斉刈りとりを想定した再生栽培技術の開発を行う。株を水平に刈りとり、その時の収穫時草高と刈りとり高さが収量と再生に及ぼす影響を明らかにし、最適な収穫時草高と刈りとり高さを決定する。

成果の内容・特徴

  • 本技術では、摘みとり収穫に適する品種を用いる。一定の草高に達したシュンギクを一定の高さで水平に刈りとり収穫する。再生後は同一の草高に達した後、同一の刈りとり高さで収穫し、これを繰り返す(図1)。
  • 収穫時草高と刈りとり高さの組み合わせにより、定植から収穫までの日数が変わる(表1)。同一刈りとり高さの場合は収穫時草高が高いほど、同一の収穫時草高の場合は刈りとり高さが低いほど定植から収穫終了まで日数を要する。9月定植では低温による生育の遅延のため、収穫までに日数を要する30-5区と40-10区は2回の収穫となる(表1、図2)。
  • 収穫時草高と刈りとり高さの組み合わせにより、株あたりの収量が変わる(図2)。収穫時草高20cmの区(20-5区、20-10区)では、他の収穫時草高30cmと40cmの区(30-5区、30-10区、30-15区、40-10区)と比較し、株当たりの合計収量が同等か少ない。
  • 収穫時草高30cmの場合は、刈りとり高さ10cmの区(30-10区)が、他の刈りとり高さ(30-5区、30-15区)に比べて株当たりの合計収量が同等か多い(図2)。また30-10区は、収穫時草高40cmの区(40-10区)に比べても株当たりの合計収量が同等か多い。合計収量が多い区(30-5区、30-10区、40-10区)の中で、最も短い日数で収穫できるのは30-10区である(表1)。
  • 収穫時草高30cmの時に刈りとり高さ10cm収穫を繰り返す方法が、いずれの定植時期でも3回の収穫が可能で最も高収量が得られる。

成果の活用面・留意点

  • 本試験は茨城県つくば市の農研機構試験圃場に設置したビニルハウスで4月と9月に定植し行った。5月や10月の定植では高温や低温の影響で生育が遅延し、3回の収穫が行えない可能性がある。同程度の気象条件の産地では適応可能である。
  • 試験にはシュンギク品種「大江戸」を用いた。他の摘みとり用品種にも適応できる可能性があるが、秋の定植では低温伸長性に注意する必要がある。
  • 刈りとり位置付近の葉は刈りとりにより切断されるものがあるが、収穫物の外観は大きくは損なわれない。

具体的データ

図1 シュンギクの再生栽培の模式図,表1 シュンギクの再生栽培の収穫時草高と刈りとり高さの組み合わせによる定植から収穫終了までの日数の違い,図2 シュンギクの再生栽培における収量

その他

  • 予算区分 : 交付金
  • 研究期間 : 2021~2023年度
  • 研究担当者 : 松永明子、佐々木英和
  • 発表論文等 : Matsunaga A. and Sasaki H. (2023) The Horticulture Journal 92:269-280