イチゴの収量を品種ごとに計算するWeb-API「NARO生育・収量予測ツール②イチゴ」

要約

「NARO生育・収量予測ツール②イチゴ」は、栽培情報、施設内の環境情報、生育情報を用いて、品種ごとに乾物生産や収量を計算するツールである。施設栽培のイチゴにおける夏秋どり栽培および促成栽培に対応している。

  • キーワード : イチゴ、品種、収量、乾物生産
  • 担当 : 野菜花き研究部門・施設生産システム研究領域・施設野菜花き生産管理システムグループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 普及成果情報

背景・ねらい

イチゴの収量を最大化するためには、栽培環境と植物の生育や収量の関係だけでなく、品種ごとの栽培特性も理解する必要がある。そこで、日々の光合成による乾物生産量に基づいて収量を計算するモデルおよび品種ごとの特性を表す係数を作成し、利用者が入力した施設の栽培環境や植物の生体情報に応じて品種ごとに収量を出力するツールを開発する。

成果の内容・特徴

  • 本ツールは、栽培情報(品種名、定植日、計算終了日、栽植密度、定植苗葉数と重量)、施設内の環境情報(日平均気温、日積算日射量、CO2濃度)、生育情報(各花房の頂花開花日、葉面積指数)から、葉面積指数、総乾物生産量、日収量、積算収量を出力する(図1)。
  • 施設栽培のイチゴにおける夏秋どり栽培、促成栽培に対応している。品種ごとの特性を表すパラメータを格納した品種データベースを保持しており、品種ごとに収量の計算が可能である。四季成り性品種は1品種、一季成り性品種は6品種に対応している(2025年3月時点)。
  • 本ツールにより、積算収量を計算することができる(図2)。実測値との比較により、施設の環境制御等を改善し、収量を最大化することが可能となる。
  • 図2における積算収量の実測値に対する計算値の平均誤差は7.9%である。

普及のための参考情報

  • 普及対象 : 農業情報サービスを展開するICTベンダー、研究・普及指導機関等。
  • 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 : 全国。イチゴの作付面積4780haの30%(およそ1430ha)が目標。
  • その他 :
    • 本ツールは、農業データ連携基盤(WAGRI)にWeb-API「NARO生育・収量予測ツール②イチゴ」として提供している。
    • 本ツールを利用するためには、WAGRIへの会員登録および本ツールの利用契約が必要である。
    • ICTベンダー向けの利用方法は、「NARO生育・収量予測ツール②イチゴ標準作業手順書」に記載している。本ツールを活用した生産者向けのイチゴの収量予測サービスの開発・提供が可能である。
    • 生産者や研究・普及指導機関等は、ICTベンダーが開発した農業情報サービスを介して本ツールの利用が可能である。
    • 入力する環境情報について、定植日から計算を実行する日までは実測値、14日先までは気象予報から推定される値を入力した場合は、14日間先までの収量を計算することが可能である。計算された収量は、出荷計画や作業計画への活用が期待される。

具体的データ

その他

  • 予算区分 : 交付金
  • 研究期間 : 2019~2021年度
  • 研究担当者 : 杉山智美、筧雄介、小田篤、礒﨑真英
  • 発表論文等 :