要約
化合物スクリーニング(化合物のふるい分け)により見出した化合物Everlastin1とEverlastin2は、アサガオ花弁の老化を抑制する。本成果は、花の日持ちを延ばす新たな薬剤の開発につながることが期待される。
- キーワード : 日持ち、花弁老化、化合物スクリーニング
- 担当 : 野菜花き研究部門・露地生産システム研究領域・露地野菜花き生産管理システムグループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
切り花では、消費者や花き業界から日持ちの良さが強く求められている。カーネーションなどの一部の切り花では、花弁の老化を早めることが知られているエチレンの作用を阻害する薬剤の処理により日持ちを延ばすことができる。一方、ユリやチューリップ、アサガオなどでは、エチレンの作用を阻害しても花弁(花被)の老化を抑制することができない。アサガオでは、花弁の老化を制御する遺伝子EPHEMERAL1(EPH1)が特定されている。そこで本研究では、EPH1遺伝子から作られるEPH1タンパク質の活性を阻害し、花弁の老化を抑制する新たな化合物を大規模な化合物スクリーニング(化合物のふるい分け)により取得する。これにより、花の日持ちを延ばす新たな薬剤の開発を目指す。
成果の内容・特徴
- Everlastin1とEverlastin2は、アサガオ花弁の老化を制御する転写因子であるEPH1タンパク質を標的とした化合物スクリーニングにより見出した化合物である(図1)。
- EPH1タンパク質は、細胞死に関連する遺伝子の発現制御に関わるDNA配列(標的DNA配列)に結合して遺伝子発現を誘導し、その結果、花弁の老化が促進されることが知られている。Everlastin1とEverlastin2は、EPH1タンパク質と標的DNA配列との結合を濃度依存的に阻害する(図2)。
- 化合物を処理していない花(対照区)では、開花約12時間後から花弁のしおれが始まり、16時間後にはしおれが顕著になる。これに対し、5μMのEverlastin1又はEverlastin2を溶かした水にアサガオの花を浮かべた場合、開花24時間後でも開花した状態を保っている(図3)。
成果の活用面・留意点
- 花の日持ちを延ばす薬剤の開発につながることが期待される。
- Everlastin1及びEverlastin2がアサガオ以外の主要な切り花にも効果を示すかについて調査中である。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金、農林水産省(生産現場強化のための研究開発:収益力向上のための研究開発)、文部科学省(科研費)
- 研究期間 : 2015~2024年度
- 研究担当者 : 渋谷健市、野澤彰(愛媛大)、高橋千佳子(愛媛大)、澤崎達也(愛媛大)
- 発表論文等 :
- Shibuya et al.(2024)Nat. Plants 10:1377-1388
- 渋谷ら「花卉の老化抑制剤」特許第7572057号(2024年10月15日)