これまでにない新しい香りのポットカーネーション品種「ひなあられ」

要約

ポットカーネーション品種「ひなあられ」はバニラにマッシュルーム様の香りが加わった既存品種にない甘い香気を有する。主要香気成分は、イソオイゲノール、β-カリオフィレン、および1-オクテン-3-オールであり、その発散は、日周性を示し、明期よりも暗期に増加する。

  • キーワード : ポットカーネーション、香り、イソオイゲノール、β-カリオフィレン、1-オクテン-3-オール
  • 担当 : 野菜花き研究部門・野菜花き品種育成研究領域・露地野菜花き育種グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

ポットカーネーションは「母の日」のプレゼント用に特化した花き品目であるが、近年はプレゼントの多様化が進み、消費が低迷している。一方で、香りをポットカーネーションの新たなセールスポイントとして訴求することにより、消費や価格が向上することが示されている。しかし、市販の芳香性ポットカーネーションは数品種と極めて少ないのが現状である。ポットカーネーションの新品種「ひなあられ」には従来の品種とは異なる香りがあり、ポットカーネーション品種の香りのバリエーションを広げることが期待できる。そこで、「ひなあられ」の香りを付加価値として活用するため、香りの成分や発散量、およびこれらの経時変化などの特徴を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 「ひなあられ」は、ピンクの花色のポットカーネーションである(図1)。
  • 「ひなあられ」の香りは、芳香族化合物のイソオイゲノールとセスキテルペンのβ-カリオフィレンを主要香気成分とし、さらにカーネーションには珍しい脂肪酸誘導体の1-オクテン-3-オールを多く含むことにより、バニラにマッシュルーム様の香りが加わった、既存品種とは異なるまろやかな甘い香気となっている。この香りを特徴づける香気成分の組成比は、開花直後(開花当日の明期)を除き、開花期間中ほぼ一定である(図2下)。
  • 「ひなあられ」の開花期間中の発散香気成分量は、同日の明期よりも暗期の方が2から3倍程度高く、日周性を示す。また、開花当日の発散量はやや低いが、その後の発散量の振幅は、ほぼ一定である(図2下)。

成果の活用面・留意点

  • 「ひなあられ」は、これまでにない特徴的な芳香を有していることから、香りを付加価値として訴求することで、ポットカーネーションの消費に貢献することが見込まれる。
  • この調査結果は、鉢植えの植物体を20°C、相対湿度70%、および12時間毎の明期(光量子束密度約50μmol・m-2・s-1)と暗期(暗黒)を繰り返した環境下で維持した15日間の開花期間中(図2上)に得られたものである。
  • 「ひなあられ」の香りの発散は、屋外では暗期に該当する夜間に、屋内では夜間の消灯後に香りがより強くなると考えられる。
  • 「ひなあられ」は、雪印種苗株式会社と農研機構の共同育成品種(出願番号37079、2024年1月19日出願公表)であり、わが国の花き新品種の統一的なコンテストであるジャパンフラワーセレクションにおいて、2024年のフレグランス賞を受賞している。

具体的データ

その他

  • 予算区分 : 交付金
  • 研究期間 : 2024年度
  • 研究担当者 : 岸本久太郎、渋谷健市、八木雅史、山口博康
  • 発表論文等 : Kishimoto K. et al. (2025) JARQ. 59:219-226 doi:10.6090/jarq.24S21