要約
栽培データ、気象データ、生育データを入力すると、日ごとの乾物生産や収量を計算できるプログラムである。キャベツ、レタス、ブロッコリー、タマネギ、ホウレンソウ、葉ネギに対応しており、「NARO生育・収量予測ツール③露地野菜」として公開され、利用可能である。
- キーワード : キャベツ、ホウレンソウ、タマネギ、加工・業務用、乾物生産、WAGRI-API
- 担当 : 野菜花き研究部門・露地生産システム研究領域・露地野菜花き生産技術グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 普及成果情報
背景・ねらい
露地野菜の多くは、生育が天候に大きく左右されるが、加工・業務用用途の契約栽培では、定時定量での出荷が求められる。定時定量出荷では、貯蔵や輸送手配、発注の準備のためのリードタイムの確保を目的として、作物の収穫時期や収穫量を予測することが重要である。そこで、日々の乾物生産量に基づいて収量を算出する生育モデルを品目ごとに作成し、入力した栽培データ、気象データおよび生育データに応じて収量を出力するプログラムを開発する。
成果の内容・特徴
- 本ツールの提供先は、農業情報サービスを開発・提供する事業者(ICTベンダー)を想定しており、ICTベンダーは本ツールを利用することにより、露地野菜の生育量や収量を予測するための生産者や流通業者向けサービスを開発することが可能になる(図1)。
- 本ツールは、品目ごとに品種や栽培方法等の特性を表すパラメータを複数実装しており、特性に応じた収量のシミュレーションが可能である。キャベツでは、早晩性と栽培時期を組み合わせた20個の標準パラメータを実装している(2025年12月時点)。
- 本ツールにより、各品目の収穫部重量の増加をシミュレーションすることができる。標準作業手順書に掲載しているキャベツ、ホウレンソウおよびタマネギの収穫部重量実測値に対する気温と日射量の実測値を用いた本ツールでのシミュレーション値の平均誤差はそれぞれ15.4%、13.9%および6.0%である。
普及のための参考情報
- 普及対象 : 農業情報サービスを展開するICTベンダー。
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 : 全国。6品目の作付面積136,400haの30%(およそ41,000ha)が目標。
- その他 :
- 「NARO生育・収量予測ツール③露地野菜」は、WAGRI上のオプションAPIとして利用できる。
- 本ツールを利用するためには、WAGRIへの会員登録および本ツールの利用規約への同意が必要である。
- ICTベンダー向けの利用方法は、2026年に公開した「NARO生育・収量予測ツール③露地野菜(キャベツ・ホウレンソウ・タマネギ)標準作業手順書」に記載している(図2)。
- 本ツールの活用事例として、キャベツでは契約栽培における欠品回避を目的に、気象条件による収穫量の増減を事前に予測し、その結果をもとに収穫物の貯蔵や収穫作業の後ろ倒しといった調整に活用することができる(図3)。
- 生産者や研究・普及指導機関等は、ICTベンダーが開発した農業情報サービスを介して本ツールの利用が可能である。
- 本ツールは、標準的な栽培環境における生育をシミュレーションするものであり、病虫害が発生した場合や過度の干湿害が発生した場合には予測誤差が大きくなる可能性がある。
- 本ツールでは、日射量と気温以外の作物の生育に影響を及ぼす土壌特性や施肥方法などの要素は考慮されていないため、出力される収穫部重量は参考値となる。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金、農林水産省(スマート農業技術の開発・実証プロジェクト)
- 研究期間 : 2021~2025年度
- 研究担当者 : 斎藤岳士、福田真知子、木下貴文、山本岳彦、鎌田えりか、板橋悦子、菅原幸治、佐藤文生
- 発表論文等 :
- 岡田ら「生育状態予測方法及び生育状態予測プログラム、並びに情報処理装置」特許第7578980号(2021年4月28日)
- 山本ら「タマネギの収穫情報予測方法及びタマネギの収穫情報予測プログラム」特許第7694953号(2021年11月25日)
- 福田ら(2025)農業情報研究、34:26-36
- 農研機構(2026)「NARO生育・収量予測ツール③露地野菜(キャベツ・ホウレンソウ・タマネギ)標準作業手順書」
https://sop.naro.go.jp/document/detail/167 (2025年12月公開)