キャベツ生育予測のためのUAV空撮画像を用いた個体別投影葉面積の計測技術

要約

キャベツにおける精密な生育予測を可能にするため、UAV(ドローン)による圃場の空撮画像を自動解析し、個体を識別して投影葉面積計測と占有面積推定を行う技術である。キャベツ生育予測プログラムに投影葉面積と占有面積を入力することで、圃場内の精密な生育予測が可能となる。

  • キーワード : キャベツ、生育予測、UAV、画像解析、投影葉面積、占有面積
  • 担当 : 野菜花き研究部門・露地生産システム研究領域・露地野菜花き生産管理システムグループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

露地野菜6品目における生育予測プログラムの「NARO生育・収量予測ツール③露地野菜」を開発し、2022年度にWAGRIを通してリリースしている。本ツールのうちキャベツの生育予測については葉の受光量に基づく物質生産型の生育モデルをベースとしており、鉛直下向きに見た時に葉が地面を覆う面積、すなわち「投影葉面積」を入力値とする。しかし、投影葉面積の正確な計測には栽培圃場の撮影と画像の解析が必要であるほか、圃場内の多数の個体を識別することはこれまで容易ではない。そこで本研究では、キャベツの精密な生育予測を可能にするため、カメラ付きのUAV、いわゆるドローンを用いて圃場の空撮を行い、圃場全体の画像を取得し、画像の合成・オルソ化ならびに自動解析によって、個体別の投影葉面積を計測する技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • 本技術は、①可視光(RGB)カメラ付きのUAVを用いたキャベツ栽培圃場の空撮、②空撮画像の合成とゆがみ補正すなわちオルソ化の処理、③画像解析プログラムによる個体識別と個体別の投影葉面積計測値・占有面積推定値の出力、さらに、④キャベツ生育モデルに基づく生育予測プログラムへの投影葉面積と占有面積の入力からなる(図1)。なお、ここでいう「占有面積」とは、各個体が地面を占有して受光可能な最大の面積を指す。個体が生長して投影葉面積が占有面積に至ると受光量が最大となる。
  • 開発した画像解析プログラムにおける処理の流れを図1に示す。圃場のオルソ化した画像を入力すると、個体を識別して位置情報とIDを付与する。画像中の色情報をもとに葉の領域を識別して個体別の投影葉面積を出力する(図2)。
  • 画像解析プログラムにより、個体別の投影葉面積を高精度に計測できる。プログラムによる自動計測値と、手動で画像処理して求めた計測値を比較した例を図3に示す。
  • 個体間の位置関係をもとにボロノイ分割(平面に多数の点がある時、各点に最も近い領域で分割する方法)を行い、各個体の領域を算出する。これらの領域の面積を投影葉面積の大きさに基づいて補正し、個体別の占有面積の推定値とする。
  • 画像解析プログラムでは、画像内の全個体の投影葉面積・占有面積を出力できるが、生育予測プログラムへの入力を容易にするため、少数の階層に分けた上で階層別の平均値も出力できる。

成果の活用面・留意点

  • 本技術で出力される個体別の投影葉面積と占有面積は、「NARO生育・収量予測ツール③露地野菜」のうちキャベツ生育予測APIの入力値として生育予測に用いることを前提としている。
  • 圃場を自動空撮できるカメラ付きUAV機体、ならびに空撮画像を合成・オルソ化するためPCと画像処理ソフトウェアが必要となる。
  • 本技術は、株式会社クボタとの共同研究の成果であり、クボタによるキャベツの生産管理支援、生育予測サービスの一環として提供される予定(時期未定)である。

具体的データ

図1 UAV空撮画像の処理と画像解析プログラムによる投影葉面積計測・占有面積推定の流れ,図2 圃場の空撮画像を用いた個体識別と葉領域の識別の出力例,図3 投影葉面積の自動計測値と手動計測値との比較

その他

  • 予算区分 : 交付金、民間資金等(資金提供型共同研究)
  • 研究期間 : 2021~2025年度
  • 研究担当者 : 陳泰伸、岩﨑千沙、斎藤岳士、石原光則、菅原幸治、佐藤文生、福田真知子、菊地直、佐久間東陽(木更津高専)、江口孟((株)クボタ)、加藤健汰((株)クボタ)
  • 発表論文等 :
    • Chen T. et al. (2025) Agric. Info. Res. 43:87-103
    • 陳ら、特願(2025年3月21日)