開花の限界日長に基づく夏秋期の露地電照栽培向け小ギクの品種選定方法

要約

夏秋期の露地電照栽培向け小ギクの品種選定のため、日長調節装置を用いて開花の限界日長を評価する選定方法である。本方法で品種を選定することで、栽培地域・時期による自然日長の違いの影響を受けにくい、高精度な計画生産が行える。

  • キーワード : キク、露地栽培、電照栽培、夏秋期
  • 担当 : 野菜花き研究部門・露地生産システム研究領域・露地野菜花き生産管理システムグループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

短日植物であるキクの開花を調節する電照栽培では、電照期間中は花芽分化を抑制し、電照消灯日以降に花芽分化・発達を進行させる。電照栽培で高精度な計画生産を行うためには、消灯日から開花日までの日数(到花日数)が安定することが重要である。しかし、夏秋期の生産(7-9月出荷)は自然日長が長いため消灯後の到花日数が増大しやすく、増大の程度は消灯日が夏至に近いほど、栽培地の緯度が高いほど顕著になる。夏秋期の露地電照栽培による計画生産を行うためには、消灯後の日長条件に関わらず、一定の日数で開花する品種を見出すことが有効である。本研究では、開花の限界日長に基づき、夏秋期の長い自然日長においても計画安定生産が可能な品種を選定する方法を提示する。

成果の内容・特徴

  • 夏秋期の露地電照栽培技術が適用される北限を秋田県とした場合、消灯時期および栽培地の緯度に関わらず到花日数を安定化させるために、開花の限界日長が15.0時間以上の品種を選定することが有効である。
  • 夏秋期の露地電照栽培に用いる品種の開花の限界日長は、シェードと電照を備えた日長調節が可能な装置を複数用いて評価する(図1)。シェードで自然光の入射を1日12時間とする。暗期終了前の時間帯に電照を点灯させることで異なる日長条件の区を設ける。
  • 供試した夏秋小ギク14品種の開花の限界日長は14.0時間から15.5時間の間に分布する(表1)。高緯度地域(秋田県秋田市、北緯39度43分)で夏至近傍に電照を消灯する作型において、開花の限界日長が15.0時間以上の品種は到花日数のばらつき(標準偏差)が小さい(表2)。
  • 盆需要期出荷作型(6月消灯)において、開花の限界日長が15.0時間以上の品種群は、高緯度地域(秋田市)での到花日数が中緯度地域(茨城県つくば市、北緯36度3分)と比較して増大しにくい(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 電照栽培は開花の抑制栽培であり、品種選定の前提として、自然開花期が計画する開花日よりも早い品種を用いる必要がある。
  • 品種選定の前提として、電照期間中は栄養成長を継続し、花芽分化が起こらない品種を用いる必要がある。
  • 本成果はキクの開花期決定の主要因である日長反応性に基づくが、温度反応性など、副次的に開花期を決定する品種特性にも着目することで、さらに到花日数を安定化させることができる。

具体的データ

図1 品種の開花の限界日長の評価方法,表1 供試した夏秋小ギク14品種の開花の限界日長,表2 高緯度地域(秋田県秋田市)で夏至近傍に消灯する作型での到花日数,図2 中緯度地域(茨城県つくば市)と比較した高緯度地域(秋田県秋田市)における盆需要期出荷作型の到花日数の増大

その他

  • 予算区分 : 交付金、農林水産省(食料生産地域再生のための先端技術展開事業 : 花きの計画生産・出荷管理システムの実証研究)
  • 研究期間 : 2018~2020年度
  • 研究担当者 : 中野善公、津田花愛(宮城農園研)、山形敦子(秋田農試)、足立陽子(宮城農園研)、佐々木厚(宮城農園研)、住友克彦、高瀬智敬、久松完
  • 発表論文等 : 中野ら(2024)園学研、23:137-146