ブロッコリーの収穫期の花蕾重は花蕾形成期の葉面積との間に高い相関関係がある

要約

ブロッコリーの収穫時の花蕾重は花蕾形成期の葉面積と高い相関関係を示し、この時期の葉面積が小さいと花蕾重が小さくなる。2か月以上の長期育苗は、花蕾形成のタイミングに影響を及ぼさないが、定植後初期における葉面積の拡大を遅延させる。

  • キーワード : 花蕾重、花蕾形成、葉数、葉面積
  • 担当 : 野菜花き研究部門・露地生産システム研究領域・露地野菜花き生産技術グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

肥料を制限した長期育苗は、定植適期を長期間維持することが可能であるとともに、定植後の乾燥耐性も向上することから普及が進んでいるが、長期間の育苗が定植後の生育に与える影響については判然としていない。本研究では、長期育苗を活用したブロッコリー生産における栽培管理の適正化を図るために、長期育苗したブロッコリー苗の定植後の葉数増加、葉面積の拡大、花蕾形成のタイミング、収穫時の花蕾重に与える影響について解明する。

成果の内容・特徴

  • 葉数の増加速度および頂芽の花蕾形成によって葉数増加が停止するタイミング(花蕾形成後しばらくして(数~十数日後)目視可能な葉数の増加が停止)は、育苗日数によって変わらないことから(図1)、栄養成長から生殖成長への切り替わりに育苗日数は関係がなく、定植後に増加した葉数によって決定される。
  • 葉面積の拡大は育苗日数の影響を受け、育苗日数が長いと葉面積の拡大が遅い(図2)。これは育苗中に展開した古い葉の定植後の拡大が停滞し、相対葉面積増加率(1日あたりの葉面積の増加率)が低くなることが原因である。また、育苗日数の違いによる葉面積の差は定植初期の気温が高い秋作で顕著に現れる。
  • 一斉収穫時の花蕾重は、定植直後など一部の期間を除き、定植後の生育期間中の葉面積と正の相関関係があり、その関係性は花蕾形成期~出蕾期に高くなる(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 本試験は4か月育苗した4か月苗(長期育苗 : 定植時6-7葉)、2か月育苗した2か月苗(長期育苗 : 定植時4-5葉)、1か月育苗した1か月苗(慣行 : 定植時3-4葉)を同時に定植している。茨城県つくば市の農研機構内の圃場で、定植は3月と9月に行い、収穫は6月と12月に行った結果に基づく。
  • 本試験には早生品種である「SK9-099」を用いている。また花蕾の直径が3mm前後の時を花蕾形成中期(図3F)とする。なお、花蕾形成のタイミングは、品種、作型によって異なることに留意する。
  • 長期育苗は葉面積の拡大を低下させ、花蕾重を減少させる可能性がある。本試験では定植初期に気温の高い秋作では、長期育苗苗の葉面積が慣行苗より小さく、その結果一斉収穫時の花蕾重が小さかったため、長期育苗苗の使用には作期に注意する。
  • 花蕾形成期の葉面積と収穫期の花蕾重との高い相関関係により、ドローン空撮画像等から花蕾形成期の葉面積を算出することで、収穫の1か月以上前に花蕾重のバラツキの予測が可能となる。

具体的データ

図1 定植後の目視可能な葉数の推移,図2 定植後の葉面積の推移(A)春作、(B)秋作,図3 (A)、(B)生育期間中の葉面積と一斉収穫時の花蕾重の相関の推移

その他

  • 予算区分 : 交付金
  • 研究期間 : 2023年度
  • 研究担当者 : 杉浦妃奈子、髙橋徳、大石麻南登、佐藤文生
  • 発表論文等 :
    • Sugiura H. et al. (2026) Hort. J. 95:80-89
    • 髙橋ら、特願(2025年10月14日)