要約
LhNAP遺伝子に変異を導入したユリでは、花被の萎れと脱離が遅延し、花の日持ちが1.5倍以上に延長する。LhNAPがユリ花被の老化を制御する鍵遺伝子であることを示しており、ユリの新たな日持ち延長技術の開発につながることが期待される。
- キーワード : 花き、ユリ、日持ち、老化、転写因子
- 担当 : 野菜花き研究部門・野菜花き育種基盤研究領域・素材開発グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
切り花では、消費者や花き業界から日持ちの良さが強く求められている。カーネーションなどの一部の切り花では、花弁の老化を早めることが知られているエチレンの作用を阻害する薬剤の処理により日持ちを延ばすことができる。一方、ユリやチューリップ、アサガオなどでは、エチレンの作用を阻害しても花被(花弁)の老化を抑制することができない。アサガオでは、花弁の老化を制御する遺伝子EPHEMERAL1(EPH1)が特定されている。本研究では、ユリの新たな日持ち延長技術の開発を目的とし、ユリ花被の老化を制御する遺伝子を明らかにする。
成果の内容・特徴
- ユリのLhNAPは、アサガオのEPH1と類似したNAC転写因子遺伝子の一種である。
- ユリ「アカプルコ」の野生型では、開花後6日から8日で花被の萎れが認められ、その後脱離する。一方、ゲノム編集により得られたLhNAP変異系統では、開花後10日から13日で花被が脱離するが、脱離するまで花被の萎れはほとんど認められず、日持ちが野生型に比べ1.5倍以上に延長する(図1、表1)。
- LhNAP変異系統では、花の老化以外に植物体の生育や形態に野生型との明らかな違いは認められない(図2)。
- これらの結果は、LhNAPがユリ花被の老化を制御する鍵遺伝子であることを示している。
成果の活用面・留意点
- ユリの新たな日持ち延長技術の開発につながることが期待される。
- ユリの花被は、花弁に相当する内花被と、がくに相当する外花被からなる。
- ゲノム編集はCRISPR/Cas9システムを用いて行い、解析したユリ植物体には外来遺伝子が残存している。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金、農林水産省(戦略的プロジェクト研究推進事業 : ゲノム編集技術を活用した農作物品種・育種素材の開発)
- 研究期間 : 2019~2025年度
- 研究担当者 : 渋谷健市、野水利和(新潟県農総研)、森本隼人、佐藤和人(新潟県農総研)
- 発表論文等 :