要約
ダイコンの葉には2種の新規化合物を含む主要な8種のフラボノイドが含まれている。植物二次代謝産物であるフラボノイドは、近年、健康維持・向上効果が注目されている化合物であり、未利用資源であるダイコン葉の新たな利用価値開拓につながる。
- キーワード : ダイコン、未利用資源、フラボノール、ケンフェロール配糖体、ケルセチン配糖体
- 担当 : 野菜花き研究部門・野菜花き育種基盤研究領域・素材開発グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
ダイコンは、日本で最も利用される野菜の1つである。根菜として根と胚軸が肥大した根部が利用されており、葉はほとんど利用されていない。しかし、葉はβ-カロテンやカルシウムなどを多く含有して栄養価が高く、有効利用されることが期待される。近年、植物二次代謝産物であるフラボノイドの健康維持・向上効果が注目されている。そこで、新たな栄養的価値をもつ可能性がある成分として、ダイコンの葉に含まれるフラボノイド成分を明らかにする。
成果の内容・特徴
- ダイコン品種「サラホワイト」の葉および根の凍結乾燥試料を用いて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析を行うと、葉では複数のフラボノイド成分が検出されるのに対し(図1)、根では検出されない。
- カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィーおよび分取HPLCによって葉から精製を行い、高分解能マススペクトル分析および核磁気共鳴スペクトル分析によって同定した8種のフラボノイド(図1、ピーク1-8)の構造は、図2の通りである。
- 8種の化合物は、いずれもフラボノイドの一種であるフラボノール化合物であり、2種はケルセチン配糖体(図2、1および2)、6種はケンフェロール配糖体である(図2、3-8)。このうち、2種のケンフェロール配糖体は、これまで報告のなかった新規化合物である(図2、6および7)。
成果の活用面・留意点
- ダイコン品種「サラホワイト」の葉から同定したフラボノールである。
- フラボノイドの健康維持・向上効果として、心血管系疾患の予防、抗ガン作用、抗糖尿病作用、認知機能の維持など、様々な効果が報告されている。ダイコンの葉で明らかになったフラボノール成分がもつ詳細な健康維持・向上効果については、今後さらなる研究が必要である。
- ダイコンの2023年度の収穫量は、およそ114万トンである(農林水産統計)。現状ほとんどが廃棄される葉の有効利用につながることが期待される。
具体的データ

その他