機能性表示食品の開発に利用可能なダイコンの葉に含まれるケルセチンの分析法

要約

機能性表示食品の開発に利用可能なダイコンの葉のケルセチンの分析法である。本分析法は、単一試験室による妥当性確認が行われているため、信頼性が高い分析値を得ることができる。

  • キーワード : ダイコン、未利用資源、ケルセチン、ケンフェロール、妥当性確認
  • 担当 : 野菜花き研究部門・野菜花き育種基盤研究領域・素材開発グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

ダイコンの可食部は根と胚軸が肥大した根部であり、葉は生産過程において大部分が廃棄されている。一方で、ダイコンの葉には様々な生理調節機能を有するケルセチンが多く含まれていることが確認されている。ケルセチンは、機能性表示食品制度において認知機能の維持に寄与する成分に指定されていることから、未利用資源として大量に廃棄されているダイコンの葉を活用した機能性表示食品の開発が期待される。そこで本研究では、単一試験室による妥当性確認を行い、機能性表示食品の品質管理に利用可能なダイコンの葉に含まれるケルセチン含有量の分析法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 開発した分析法では、まずダイコンの葉から調製した凍結乾燥粉末に塩酸を含むエタノール水溶液を加えて、90°Cで30分間の条件で加水分解を行う。その後、超音波処理と遠心分離によって得られた上清をメスフラスコに回収し、抽出液を調製する。分析には高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、ODSカラムとアセトニトリルを含む移動相による分離によってケルセチンに由来するピークを検出する(図1)。本分析法により得られる分析値は、アグリコン当量として算出される。
  • 単一試験室による妥当性確認試験の結果より、本分析法で得られる分析値は信頼性が担保されている。具体的には、分析日や使用機器を変更して同一試料を繰り返し測定した際の分析値のばらつきである室内精度や、ケルセチンの標準品を用いた添加回収試験より算出される回収率の値が、いずれも食品や医薬品の分析法の開発や認証を行う国際機関であるAOAC Internationalが定める基準を満たしていることを確認している(表1)
  • 市販されている5種類のダイコン品種を異なる時季に栽培して、葉に含まれるケルセチン含有量を本分析法で測定した結果を図2に示す。全ての品種で、12月に収穫したものでは11月に収穫したものと比較して、ケルセチン含有量が高くなる傾向がある。

成果の活用面・留意点

  • 本分析法は、ダイコンの葉を利用したケルセチンを関与成分とする機能性表示食品の品質管理に利用可能である。なお、ダイコンの葉に含まれるケルセチンの含有量には季節間差があることが確認されている(図2)。そのため製品開発にあたっては、ケルセチン含有量が安定して高くなるように、原料となるダイコンの葉を調達する時季や産地に留意する必要がある。
  • 本分析法はPlackett-Burman試験計画法により、各種測定条件にわずかな違いが生じた際に、分析値にどの程度影響が及ぶかを評価しており、加水分解時の温度の違いが分析値に大きな影響を与えることが判明している。そのため加水分解の際は、機器の温度表示だけではなく試料の品温のモニタリングを行い、適切な温度管理に努めることが重要となる。

具体的データ

図1 ダイコンの葉に含まれるケルセチン含有量の分析方法の概要,図2 市販されている5種類のダイコン品種の葉に含まれるケルセチンの含有量

その他

  • 予算区分 : 交付金
  • 研究期間 : 2023~2025年度
  • 研究担当者 : 山内雄太、安藤聡、上田浩史
  • 発表論文等 : Yamanouchi Y. et al. (2025) Food. Sci. Technol. Res. 31:377-384