セルロース系バイオマス植物として有用なオギススキ新品種「MB-1」と「MB-2」

要約

オギススキの新品種「MB-1」と「MB-2」は、バイオマス用として海外や国内で利用されている既存品種「イリノイ」よりも株の広がりに優れる。そのため造成時の移植株数を既存品種の1/4に減らすことが可能である。栽培適地は東北及び東北以南の地域である。

  • キーワード : セルロース系資源作物、バイオマス、カーボンニュートラル、Miscanthus、草本
  • 担当 : 東北農業研究センター・緩傾斜畑作研究領域・生産力増強グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 普及成果情報

背景・ねらい

カーボンニュートラルを達成する方策のひとつとして、バイオマス植物の利活用がある。オギススキ(Miscanthus x giganteus)は、海外ではバイオマス植物として直接燃焼による発電等に既に利用されている。国内でオギススキを普及する上での課題のひとつは、造成に労力と費用がかかることである。オギとススキの雑種であるオギススキは種子を作らないため、株を地下茎から増殖して移植するという作業が必要で、既存品種では1haの草地を造成するためには1万本程度の苗を移植する必要がある。
そこで、この欠点を補うため株の広がりの良いオギススキ新品種を開発した。これにより、既存品種よりも移植株数を大幅に減らすことが可能である。

成果の内容・特徴

  • オギススキ新品種「MB-1」と「MB-2」は、既存品種「イリノイ」と比較して出芽間隔が広いため株の広がりに優れる(図1)。新品種の株の広がりは、移植2年目で100cm、移植3年目で200cmを超える。オギススキは通常100cm間隔で移植するため、既存品種の株が繋がるには4年以上かかるが、新品種は2年で繋がる。そのため、新品種を200cm間隔で移植すれば、3年目で繋がり、株数は通常の1/4に減らせる。
  • オギススキ新品種の乾物収量は、1年目から2年目において既存品種より優れる(図2)。
  • オギススキ新品種は移植当年の初期生育に優れ、移植後に無除草で栽培した場合に、11月の雑草の量が既存品種よりも少なく、雑草との競合に優れる(図3)。
  • 出穂は、既存品種が最も早く、次が「MB-1」で最も晩いのが「MB-2」である(図4)。

普及のための参考情報

  • 普及対象 : 生産者は農業法人などで燃焼原料として石炭火力発電所・バイオマス発電所での利用が見込まれる。
  • 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 : 普及予定地域には、耕作放棄地や遊休地などが想定される。東北地域以南の1,000ha。
  • その他 : 2023年から苗が民間会社から販売される。ただし、株の増殖に時間がかかるため、苗販売から数年間は少量の苗の販売となる。新品種は倒伏に弱いため、積雪地では積雪前に収穫を行う必要がある。

具体的データ

図1 新品種「MB-1」「MB-2」および既存品種「イリノイ」の1~3年目までの株幅,図2 新品種「MB-1」「MB-2」および既存品種「イリノイ」の1~3年目までの乾物収量(t/ha),図3 新品種「MB-1」「MB-2」および既存品種の1年目の無除草条件におけるオギススキと雑草の乾物重(t/ha),図4 新品種「MB-1」「MB-2」および既存品種「イリノイ」の移植2年目の草勢

その他

  • 予算区分 : 交付金、内閣府(戦略的イノベーション創造プログラム(SIP):スマートバイオ産業・農業基盤技術)
  • 研究期間 : 2012~2020年度
  • 研究担当者 : 藤森雅博、久保田明人、眞田康治、秋山征夫、田村健一、小路敦、奥村健治、我有満、山下浩、高井智之、波多野哲也、上床修弘、木村貴志
  • 発表論文等 :
    • 藤森ら「MB-1」品種登録出願公表第35900号(2021年12月20日)
    • 藤森ら「MB-2」品種登録出願公表第35901号(2021年12月20日)