要約
従来、人手で行っていたオギススキ苗の移植作業を既存のアスパラガス苗移植機で機械移植することができる。オギススキ新品種「MB-1」、「MB-2」の苗を条間1.9mで機械移植することで、トラクター運転手と移植機上の作業員計2名で1日あたり1.5haを造成できる。
- キーワード : オギススキ、紙ポット、機械移植、草本系バイオマス
- 担当 : 東北農業研究センター・緩傾斜畑作研究領域・生産力増強グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 普及成果情報
背景・ねらい
イネ科の多年生植物であるオギススキはわずかな肥料(窒素成分で10~20kg/ha/年)で毎年20t/haの乾物収量が得られるため、草本系バイオマスとして有望である。しかし、オギススキをバイオマス原料として大規模に栽培する際に、育苗した苗を手作業で植えるには多大な労力がかかるため、機械移植技術が求められている。そこで、本研究では既存のアスパラガス苗移植機を用いた機械移植技術体系を開発する。
成果の内容・特徴
- オギススキ苗の育苗から機械移植までの工程を図1に示す。オギススキは種子ができないため、苗作りには圃場で栽培している株の地下茎を、萌芽前にマニュアフォークを付けたホイールローダーなどを利用して掘り出し(図1-A)、高圧洗浄機で洗浄後(図1-B)、剪定ハサミでポットに入る大きさに地下茎を切断し(図1-C)、ビニルポットもしくは紙ポットで1~2か月程度育苗する(図1-D)。
- 本機械移植技術では、既存のアスパラガス苗用の牽引型1条移植機(MCT-A、サークル機工株式会社)を用いる(図1-E)。牽引には35PS以上のトラクターが必要である。ゴンドラ径とホルダー数の組み合わせで株間を調整することができ、ゴンドラ径を75cm、ホルダーを4本に設定し、ホルダーを1つ飛ばしで苗を入れると株間1.1m、3つ飛ばしで入れると株間2.2mとなる(図1-F)。推奨する栽植間隔は、既存品種「イリノイ」で株間1.1m、条間1m。株が2mまで広がるオギススキ新品種「MB-1」および「MB-2」は、株間2.2m、条間2mである。
- ビニルポット育苗では、オギススキは長期間育苗すると地下茎がポットを突き抜けて楔状に刺さり、移植機上でビニルポットを外す作業が間に合わなくなるため、適期に移植する。紙ポット(8cm)ではそのまま移植できる。草高が40cmを越えると、植えた苗の葉が上昇するホルダーの爪に挟まれて引き抜かれることがあるため、移植に用いる苗の草高は40cm以下とする。40cmを越えた場合は葉先を刈払うことで移植できるが、その影響で生育が遅れる場合があるため、極力、適期に移植する。
- オギススキ新品種「MB-1」、「MB-2」を用いて、株間2.2m、条間1.9mで機械移植することで、トラクター運転手と移植機上の作業員計2名で1日(8時間)あたり1.5haを造成できる。人手だと8名で1日あたり1haである。7年かけて合計400ha造成すると、機械移植により人件費を2,000万円以上削減できる(表1)。
- 盛岡市での移植適期は4月下旬~6月末(梅雨明け前)である。春先に一度耕起し、ヒエが生え揃ってから(6月)再度耕起して移植すると雑草との競合が少ない。
普及のための参考情報
- 普及対象 : 農業者、バイオマスエネルギー事業者、普及指導機関。
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 : オギススキ普及予定面積1,000haのうち、太平洋側黒ボク土地帯を中心とした500ha。
- その他 :
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金、経済産業省(ムーンショット型研究開発事業)、民間資金等(資金提供型共同研究)
- 研究期間 : 2022~2024年度
- 研究担当者 : 久保田明人、岡崎和之、OU JIE-HAO、藤森雅博
- 発表論文等 :