要約
東北地域の秋まき作型のタマネギ栽培において、同一播種日で育苗期間を短縮して早期に定植すると、欠株・抽苔の増加はなく、越冬前の生育量が増えて収穫時のりん茎重と収量が向上する。収量は越冬前の地上部乾物重と強く相関するため、早期定植による越冬前の生育量の確保が重要である。
- キーワード : タマネギ、秋まき作型、早期定植、増収、初期生育
- 担当 : 東北農業研究センター・畑作園芸研究領域・野菜新作型グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
東北地域における448穴セルトレイ育苗による秋まき作型のタマネギ栽培では、慣行の定植時期が降雨の多い10月中下旬である。全自動移植機を用いる場合、定植適期とされる期間の幅が10日間程度と短いため、その間の降雨による作業の遅れによって減収につながる事例が散見される。そのため、育苗期間を短縮して早期から定植を行うことが可能であれば、定植可能期間の幅を拡大できる可能性がある。しかし、早期の定植による、タマネギのりん茎重や抽苔率などの生育特性への影響は明らかでない。そこで、同一播種日の条件下で育苗期間を短縮して早期に定植した場合の生育特性および収量への影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- タマネギ「もみじ3号」を、8月下旬に播種し、9月下旬から10月下旬までおおよそ1週間おきに定植する場合、慣行の定植日(10月中下旬)より早く定植すると、収量を低下させる要因である欠株率、抽苔率等は増加せず、りん茎重、収量が増加する(図1、表1)。
- 定植日が早いほど初期の生育が速くなり、越冬前の生育が向上することで、収穫時のりん茎重が増加する(表2)。収穫時のりん茎重は越冬前の地上部乾物重と強い正の相関があるため、越冬前の時点で十分な生育量を確保することが重要である(表3)。
成果の活用面・留意点
- 本研究成果は、東北農業研究センター盛岡研究拠点(盛岡市)内の黒ボク土圃場で得られたものであるため、具体的な播種日および定植日は地域や圃場条件に応じて変える必要がある。なお、播種は、8月25日に、被覆肥料(マイクロロングトータル280-100日タイプ ; N : 12%、P : 8%、K : 10%、ジェイカムアグリ(株))を重量比2%混合した育苗培土(野菜養土K-200(ヤンマー(株)))を充填した448穴セルトレイに行った。育苗は、パイプハウス内のベンチ上に設置し、ベンチ育苗した。本圃では、元肥として、N : P2O5 : K2O=15 : 30 : 15g・m-2を畝立て時に施用し、栽植様式は、畝幅150cm、株間12cm、条間24cmの4条植え(22.2株・m-2)とした。追肥として、N : P2O5 : K2O=3 : 3 : 3kg・10a-1ずつ、圃場の消雪後の3月中旬と下旬の計2回表面散布した。
- 育苗期間が極端に短い場合、培土が十分に固化せず、全自動移植機での定植に適さないことに留意する。
- 極端な早植えは、越冬前の生育が過度に大きくなり、抽苔株の発生につながる可能性があるため、定植は9月下旬以降とする。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金
- 研究期間 : 2020~2023年度
- 研究担当者 : 山内大輔、山本岳彦、室崇人、木下貴文
- 発表論文等 : 山内ら(2026)園芸学研究、25:39-46