タマネギのケルセチン配糖体含量の多少を識別できるDNAマーカー

要約

DNAマーカーs1179403_21102は、DNA断片を特異的に増幅し、増幅産物による遺伝子型に応じてケルセチン配糖体含量の高い個体と低い個体をアガロースゲル電気泳動により判別できる。

  • キーワード : タマネギ、ケルセチン配糖体、DNAマーカー、マーカー選抜、機能性成分
  • 担当 : 東北農業研究センター・畑作園芸研究領域・畑作園芸品種グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

タマネギのりん茎は、機能性成分であるケルセチン配糖体を豊富に蓄積している。ケルセチン高含有個体の選抜には、収穫りん茎を材料としてケルセチン配糖体含量を測定するため、収穫してからしか判別することができない。また、ケルセチン配糖体含量は遺伝要因のみならず栽培要因によっても変動することが知られているため、ケルセチン配糖体高含有タマネギの品種育成には時間を要する。そのため、栽培条件による変動の影響を受けずにケルセチン配糖体含量の多少を判別できるDNAマーカーがあれば、品種育成に要する時間が大幅に短縮できる。そこで、QTL解析によりケルセチン配糖体含量と連鎖するDNAマーカーを開発する。

成果の内容・特徴

  • タマネギ2品種(「OMP-3」、「ターボ」)間のF2集団を用いた場合、タマネギりん茎中のケルセチン配糖体含量に関するQTLは、第5染色体と第6染色体上に検出される(表1、図1)。
  • このうち、寄与率の大きな第6染色体上のQTLについて、QTL近傍のDNAマーカーs1179403_21102による遺伝子型が、Gのホモ接合型の場合に、Aのホモ接合型およびGAのヘテロ接合型である個体と比べて、ケルセチン配糖体含量が有意に高くなる(図2)。
  • 本マーカーは、一塩基多型を特異的に識別するプライマーセットによる増幅の有無によって、ケルセチン配糖体高含有個体と低含有個体をアガロースゲル電気泳動により簡便に判別できる(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 本マーカーを用いることにより、苗の状態で早期選抜が可能である。また、栽培条件の影響を受けずにケルセチン配糖体高含有個体を選抜できるため、ケルセチン配糖体高含有の特性を活かした高機能性タマネギ品種の開発に利用できる。
  • 本マーカーは、上記2品種由来の集団で評価したため、この集団以外に適用する場合は、遺伝子型とケルセチン配糖体含量との相関を確認する必要があることに留意する。
  • 本マーカーを用いたタマネギのケルセチン配糖体高含有個体の選抜法は特許出願中のため、利用には許諾が必要である。

具体的データ

図1 タマネギりん茎中のケルセチン配糖体含量に関与するQTLの染色体上の位置,表1 F2集団におけるケルセチン配糖体含量に関するQTL解析,図2 交雑集団におけるDNAマーカーs1179403_21102を用いた遺伝子型別のケルセチン配糖体含量,図3 DNAマーカーs1179403_21102によるDNA増幅産物の電気泳動とそのプライマーペア

その他

  • 予算区分 : 交付金、文部科学省(科研費)
  • 研究期間 : 2019~2022年度
  • 研究担当者 : 奥聡史、関根大輔、青木和彦、室崇人、日浦聡子、塚﨑光
  • 発表論文等 :
    • Oku S. et al. (2024) Acta Hortic. 1404:587-592
    • 塚﨑ら「タマネギ種植物におけるケルセチン含有量の程度を判定する方法、ケルセチン高含有のタマネギ種植物を製造する製造方法、ケルセチン高含有のタマネギ種植物、及びタマネギ種植物における、ケルセチン含有量に関する分子マーカー」特開2023-103057(2023年7月26日)