雑草管理の省力化のために草刈ロボットを運用してもメッシュ柵のゆるみを加速させない

要約

メッシュ柵(金網製獣害防止柵)の周囲について、市販の草刈ロボット運用による雑草管理が可能で、その際、草刈ロボットの繰返し衝突がメッシュ柵のゆるみを加速させることはない。経時的なゆるみの進行を勘案すると年1回程度のゆるみの確認とメンテナンスが望ましい。

  • キーワード : メッシュ柵、電気柵、雑草管理、省力化、草刈ロボット
  • 担当 : 東北農業研究センター・農業放射線研究センター・早期営農再開グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

物理的に害獣の侵入を防ぐメッシュ柵であっても、周囲に雑草が繁茂して見通しが悪くなると、アライグマを含む中型哺乳類が柵に接近しやすくなり、近辺を探索する機会が増し、柵の隙間を見つけたり、イノシシなどでは柵を破って侵入する可能性が高まる。そのため、メッシュ柵周囲の雑草を適切に管理し、見通しを良くしておくことは、獣害防止に有効であるが、夏期など雑草の伸長が盛んな時期では、頻繁な除草作業には多大な労力がかかる。このため、雑草管理の省力化に有効な市販の草刈ロボットの活用が期待されるものの、メッシュ柵への繰返し衝突による柵へのダメージの懸念があるため、検討を行った結果を示す。

成果の内容・特徴

  • メッシュ柵周囲の雑草管理について、乗用管理機および除草剤散布による慣行管理と比較すると、慣行作業の頻度によるが、草刈ロボットによる雑草管理を実施した方が、平均草高を低く管理できる(図1、図2)。
  • 草刈ロボットによりメッシュ柵周囲の雑草管理を行い、メッシュ柵に草刈ロボットが作業に際して繰返し衝突する場合でも、草刈ロボットを運用しない場合と比較して、メッシュ柵の支柱のゆるみを特に進行させることは確認されなかった(図3)。一方で、草刈ロボットを運用しない場合でも、メッシュ柵の支柱のゆるみは風などの影響で進行するため、最低限1回/年の頻度でメンテナンスを行うことが望ましいと考えられる。

成果の活用面・留意点

  • 草刈ロボットは充電と草刈作業を自動で繰り返す自律運転をする装置であるが、エラー発生による停止が発生することがあるため、安定運用のために、目視あるいはアプリ上で1日1回程度、運転状況を確認することが望ましい。
  • メッシュ柵は、溶接金網(1000mm×2000mm、線径5mm、格子目開き100mm)を200mm程度重なるように設置し、重なった部分でゆるみの無いように異形棒鋼(直径13mm、長さ1500mm)を地面に打込み、結束バンドで異形棒鋼と溶接金網を地表近く、上端付近、中間の3か所を固定する(図4)。図1、図2のメッシュ柵は現地農家が設置した異なる様式のメッシュ柵であったが、特段のゆるみは発生しない。
  • 電気柵下の雑草管理にも市販の草刈ロボットを活用することで、省力化の可能性はあるが、草刈ロボットが通電により破損する恐れがあるため、メーカーの保証がない現状では、利用は難しい。

具体的データ

図1 柵周囲における草刈ロボット運用例,図2 メッシュ柵周囲における草刈ロボット運用時の雑草の高さ,図3 草刈ロボット作業時間とメッシュ柵の支柱のゆるみの推移,図4 メッシュ柵設置事例(左:春期、右:冬期)

その他

  • 予算区分 : 交付金、農林水産省(農林水産分野の先端技術展開事業 : 特定復興再生拠点区域等の円滑な営農再開に向けた技術実証)
  • 研究期間 : 2021~2025年度
  • 研究担当者 : 金井源太、好野奈美子、藤本竜輔
  • 発表論文等 : 金井ら(2024)農作業研究、59:173-186