要約
福島県浜通り地域の秋播き移植タマネギの連作圃場にて、イヌムギは現地慣行の防除体系で防除可能であるが、ネズミムギは防除不十分である。ネズミムギは収穫前の根切り作業機の走行を阻害し問題となる。同種はタマネギを連作するに従い蔓延傾向を示し、併せて除草労力を増加させる。
- キーワード : イヌムギ、ネズミムギ、移植タマネギ、連作、手取除草
- 担当 : 東北農業研究センター・農業放射線研究センター・早期営農再開グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
福島県浜通り地域では2011年3月の東日本大震災後、2016年頃から徐々に営農が再開されている。新規作目として秋播き移植タマネギ栽培が導入され、2021年5月には福島県相双地域がタマネギ指定産地となった。秋播き移植タマネギ栽培は在圃期間が9か月と長く、定植年内および越冬後の双方の雑草防除が重要であり、防除体系の確立が急務である。2021年に南相馬市小高区の秋播き移植タマネギ栽培圃場においてイヌムギおよびネズミムギの蔓延圃場を確認した。しかし、国内のタマネギ圃場における両草種の侵入事例は報告がなく、栽培履歴、除草管理体系と蔓延実態の関連も不明である。そこで、秋播き移植タマネギ栽培のイヌムギおよびネズミムギによる雑草害実態と課題を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 秋播き移植タマネギ栽培において、イヌムギは、現地慣行防除体系のジメテナミドP・ペンディメタリン乳剤に加えて、3月上旬にキザロホップエチル水和剤処理で防除される(表1、図1)。
- ネズミムギは定植後のジメテナミドP・ペンディメタリン乳剤に加え、定植翌年の1月下旬のフルアジホップP乳剤もしくは3月上旬のキザロホップエチル水和剤の処理(表1)においても残草し、防除不十分となる(表1、図1、2)。同種は作物収穫前の根切り機走行を阻害する(図2_B)。
- ネズミムギの優占度(図1_黒塗部)はタマネギの連作で増加する。手取除草労力は連作2年目で0時間であったが、3年目(2022年)では70a当たり38.0人時を要し、4年目(2023年)では前年の約1.7倍に増加する(図3)。
成果の活用面・留意点
- 現行の除草体系はネズミムギに対する防除が不十分であり、同種に有効なイネ科用茎葉処理除草剤の選定および処理適期を明らかにし、現行の除草体系に追加することで、最適な除草体系を確立する必要がある。
- 優占度とは複数の草種で構成される雑草植生において、各雑草種の個体数の割合を示すものである。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 農林水産省(農林水産分野の先端技術展開事業 : 先端技術を活用した施設野菜・畑作物の省力高収益栽培・出荷技術の確立)
- 研究期間 : 2021~2024年度
- 研究担当者 : 木幡裕介、浅井元朗
- 発表論文等 : 木幡、浅井(2025)東北の雑草、24:1-8