土壌湿性動物抽出装置を用いた水生ミミズの高能率な個体数調査法

要約

土壌湿性動物を抽出するベールマン装置、オ・コーナー装置を用いる改良調査法は、有機物残渣を含む水田土壌から水生ミミズを抽出することで調査精度と個体数計測速度が向上し高能率に調査できる。

  • キーワード : 水生ミミズ、個体数調査法、ベールマン装置、オ・コーナー装置、調査精度
  • 担当 : 西日本農業研究センター・中山間営農研究領域・生産環境・育種グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

「みどりの食料システム戦略」で示された有機農業面積の拡大には、水稲有機栽培の拡大が不可欠だが、雑草対策が大きな課題の一つである。雑草対策の一方策として水田に生息する水生ミミズを活用した雑草抑制効果が注目されており、有効活用に向けた研究開発が進められている。水生ミミズの個体数調査では、水田土壌を目開き0.25mmや1mmのふるいの上に載せ水流で細かい土を洗い流し、ふるい上の水生ミミズをバット上で採取しながら計測する方法が一般的である(従来法=見つけ取り法)。しかし、従来法では、稲わらなどの有機物残渣も大量に残り、水生ミミズが有機物に隠れたり絡まったりするため個体数の計測に非常に労力を要する。そこで本研究では、ふるい上に残った有機物残渣から水生ミミズを容易に抽出でき、計測しやすい効率的な調査法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 改良法では、線虫を抽出する際に使用するベールマン装置、もしくは陸生の小型ミミズであるヒメミミズを抽出する際に使用するオ・コーナー装置を用いる(図1)。
  • ベールマン装置とオ・コーナー装置のいずれを使用した場合でも、高い効率で水生ミミズを抽出できる(表1)。
  • 改良法では、従来法と比較して見落としが少なく高い調査精度で、かつ、個体数計測速度が17倍程度早い(表2)、高能率な調査が可能である。

成果の活用面・留意点

  • 水生ミミズの生態は未解明な点が多いが、有機水田の抑草に期待されている。本改良法を使用することで調査効率が向上するため生態などの解明が加速し、有効活用技術などの開発につながる。
  • 本改良法は、水田以外の底泥でも活用できる。
  • 有機物残渣量が多い場合に抽出効率が低下する(図2)。この場合有機物を小分けにして抽出することで抽出率低下を回避できる。より高精度の調査を要する場合は、抽出後の有機物残渣中に残存する水生ミミズを目視で確認する工程を加えることが推奨される。
  • オ・コーナー装置はベールマン装置よりも抽出率が高いが、ベールマン装置に加えて電球とサーモスタットが必要となる。

具体的データ

その他

  • 予算区分 : 交付金
  • 研究期間 : 2020~2022年度
  • 研究担当者 : 金田哲
  • 発表論文等 : Kaneda S. (2024) Edaphologia 115:67-75