重点普及成果

斑点米カメムシ類とイネいもち病の薬剤散布適期連絡システムの開発

本技術開発の背景

斑点米カメムシ類とイネいもち病は全国で発生する主要な水稲病害虫であり、防除の判断のためには発生予察情報が活用されている。しかし、生産者が本情報を入手するまでには一定の時間を要することから、現場で効率的に適期防除を行うためには水田での病害虫の発生時期や発生リスクをリアルタイムで生産者に伝達するシステムの構築が長年の課題となっていた。さらに、近年では品種や作期の多様化や管理している水田の分散化が進んでおり、生産者がより高精度な防除の判断を行えるよう水田一筆単位で病害虫の発生時期や発生リスクを予測できる技術の確立が求められていた。

技術概要

  • 開発したシステムは、事前に指定した水田での対象病害虫の発生リスクや発生時期を一筆単位で自動予測し、防除が必要な場合に薬剤の散布適期をメールで生産者に配信するプッシュ型通知機能を有する。
  • 斑点米カメムシ類(アカスジカスミカメ、アカヒゲホソミドリカスミカメ、クモヘリカメムシ)については、出穂期以降に水田に侵入してくる個体を適切に防除することが重要であるため、水田ごとのイネの生育予測に基づき92.6%の精度で薬剤散布適期を予測し通知する。
  • イネいもち病については、葉いもちの発生を抑え穂いもちへの伝染環を断つことが重要であるため、対象とする水田近辺のアメダスデータをもとに病原菌がイネに感染しやすい気象条件を解析し、日々の発生リスクの積算により71.4%の精度で薬剤散布適期を予測し通知する。
  • 本システムから適時に配信されるメールにより、各水田の病害虫の発生状況に応じた防除判断を迅速に行えるようになり、非熟練者であっても適時適切な防除が可能となる。これにより、被害軽減による収益向上に加え作業の軽労化や環境負荷低減などが期待される。
  • 開発したシステムは農研機構の職務作成プログラムやWAGRI APIを通して農業支援サービスを展開している民間のITベンダー等に技術移転され、生産現場で活用される。

技術に関する問い合わせ先

農研機構 植物防疫研究部門 研究推進部 研究推進室

参考情報

標準作業手順書(SOP)