携帯型パイナップル熟度判定装置

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要約

本装置は,パイナップル果実を透過する光量データを測定時の光環境に応じて補正することによって,自然光下で利用できる携帯型の熟度判定装置で,屋外等における生食用パイナップルの熟度判定を簡便かつ,高い精度で可能にした。

  • 担当:生研機構・園芸工学研究部・園芸調製貯蔵工学研究室
  • 連絡先:048-663-3901

背景・ねらい

沖縄県産パイナップルは,果汁・缶詰の輸入自由化を契機に,生食用への転換を図りつつあり,高品質な生果を流通させることが要望されている。しかし,現在生産されている品種は,色づき具合など外観からの熟度判断は困難で,かなりの割合で未熟果や過熟果が混在して収穫されている。そこで,圃場において適熟果を選択収穫する場合に利用できる携帯型の熟度判定装置を開発することをねらいとした。

成果の内容・特徴

  • 開発した装置(写真)は,手持ち測定部(0.6kg)と肩掛け携行するコントローラ部(0.9kg)で構成される。自然光下でパイナップルに押し当てて用い,パイナップル内を散乱透過してきた光量を検出するとともに2個の光センサで果実周辺の明るさを検出する。同時に明るさに応じて果実透過光量データを補正し,内部に組み込んだ熟度判定指標に基づいて熟度判定を行う。判定結果は,LED(緑,黄,赤)の発光色とともに測定指数として表示される。なお,電源は乾電池で連続200時間の使用が可能である。
  • 熟度判定指標には,本装置による各条件での測定値と各サンプルの果肉目視熟度との関係より求めた,屋外・露地栽培モードとハウス栽培モードがある(図1)。果肉目視熟度は,完熟を10分ぶ)として果肉の水浸割合から定めたものである。
  • 熟度判定精度については,適正判定(目視熟度との差で2分以内)割合が,収穫後の屋外手持ち測定の場合で約95%,立毛状態の測定では,ハウス,露地とも約80%であり(図2),適熟果の選別判定に有効である。

成果の活用面・留意点

沖縄県内で生産されている主要品種(N67-10)等に適用できる。ただし,明るさセンサがパイナップルの葉や冠芽等の陰に入ると誤判定の原因となる場合があり,測定に当たっては注意が必要である。なお、重度の花樟病害果については、光透過量が極めて少ないことから未熟果として排除できる。

具体的データ

図1.熟度判定指標

 

図2.熟度判定精度

 

その他の特記事項

  • 研究課題名:生食用高品質パインアップルの種苗大量増殖技術及び生産流通技術の開発-品質評価技術の確立-可搬型熟度・障害果判定装置の開発
  • 研究期間・予算区分:平成4~5年・経常・受託(国)
  • 研究担当者:平田晃,大森定夫,中元陽一,鷹尾宏之進
  • 発表論文等:平成4年度特定農産物緊急開発事業受託報告書 特許願平4-306102,名称:青果物内部品質判定装置