水田用栽培管理ビークル

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要約

田植え、施肥、除草、病害虫防除等の作業を行う水田用の乗用車両である。共通化したオートヒッチ、2本のPTO軸、管理作業に適した車輪を持ち、上記作業を精度良く行うことができる。

  • 担当:生研機構 生産システム研究部 土壌管理システム研究 生育管理システム研究 大規模機械化システム研究 栽植システム研究
  • 連絡先:048-663-3901
  • 部会名:作業技術
  • 専門:機械
  • 対象:農業機械 稲類
  • 分類:普及

背景・ねらい

水稲作における追肥、除草、病害虫防除などの管理作業には、歩行作業で行われる場合が多いこと、組作業が多いこと、大区画ほ場への対応が難しいこと、散布精度が低いことなどの問題がある。また、乗用田植機については利用時間の拡大を求める声が強い。そこで、田植えと上記管理作業などを1台で行うことのできる乗用車両を開発した。

成果の内容・特徴

  • 原動車である本機とこれに搭載する作業機から構成され、1台で、田植え、施肥、除草、病害虫防除などの作業ができる水田用の乗用型作業車である(図1)。搭載作業機は、6~8条植え田植機(側条施肥田植機)、液剤少量散布機(病害虫防除用)、粒状物散布機(施肥・除草・病害虫防除用)などである(図2)。
  • 田植えの作業精度及び作業能率は現行の田植専用機と同程度である。
  • 本機の特徴は以下のとおりである。
    (1)共通化したオートヒッチを持つため、各種作業機の着脱を簡単に行うことができる。
    (2)回転数が作業速度に比例したグランドPTO(田植機、液剤少量散布機のポンプ等駆動用)と、エンジン回転に比例したライブPTO(液剤少量散布機や粒状物散布機の送風機等駆動用)を持つため、広範な作業に対応できる。
    (3)田植えと管理作業に各々適した車輪を持ち、前輪のリム中心位置にカバーを取付けているので、管理作業時の走行性能が良く(表2)、稲を傷めにくい(車輪による土の持上げ及び茎葉の巻込みや断根が少ないため)。また、車輪及び車輪取付部を共通化したため、車輪の交換を簡単に行うことができる。
    (4)田植専用機より最低地上高が10cm程度高いため、稲の押倒しが少ない。

成果の活用面・留意点

平成7年度に高性能農業機械実用化促進事業に移行し、平成8年から市販を予定。

補助車輪なしの乗用田植機が円滑に走行可能な水田(耕盤硬度0.6MPa程度以上)への導入が望ましい。また、進入路の傾斜及び進入路先端から耕盤までの段差を小さくすること、作業機を外して走行する時は、前方のバランスウェイトを後方へ移動して低速で走行すること、田植時に隣接条間を均一に保つことなどに注意する必要がある。

具体的データ

図1.水田用栽培管理ピークル本機の概略側面図

 

図2.水田用栽培管理ビークルの構成

 

表1.本機の主な仕様

 

表2.管理作業時の走行性能

 

その他

  • 研究課題名:水田用栽培管理ビークルの開発
  • 予算区分:経常・緊プロ(共同)
  • 研究期間:平成7年度(平成5年~6年)