水田用栽培管理ビークルに搭載する液剤少量散布機
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要約
水田用栽培管理ビークルに搭載する液剤少量散布機(主として 300倍希釈の液剤を25L/10a散布)を開発した。
本液剤少量散布機は、噴霧量が作業速度に比例し、また、噴霧液を稲株内に風で吹込むエアアシスト方式であるため、水稲の防除作業の高精度化、省力化、高能率化、適期防除などが推進できる。
- 担当:生研機構 生産システム研究部 生育管理システム研究単位 土壌管理システム研究単位
- 連絡先:048-663-3901
- 部会名:作業技術
- 専門:機械
- 対象:農業機械 水稲
- 分類:普及
背景・ねらい
水稲作の液剤散布作業は、一般に動力噴霧機を利用して長いホースを引回しながら畦畔散布ノズルで行う方法が広く行なわれているが、多数の作業者が必要となる。
しかし、近年人員確保が困難となり、省力化とともに高能率化が要望されており、これらの問題点に対処することをねらいとして開発した。
成果の内容・特徴
- 水田用栽培管理ビークルに搭載して、主として300倍希釈の液剤を25L/10a散布(現行は、主として1000倍希釈の液剤を100L/10a程度散布)する作業機である(図1)。
- 本液剤少量散布機の特徴は以下のとおりである。
ア.少量散布方式のため、薬液タンク容量が140Lと小さく軽量であり、水田用栽培管理ビークルの走行性能が良くなるとともに、薬液の補給回数が減らせる(満タンで約50a散布可能)。
また、農薬の希釈濃度は慣行に比べ約3倍であるが、10a当たり散布量が約1/4となるため、農薬の投下量を2割弱減らせる。
イ.作業速度に連動して回転するビークルのPTO軸によって余水なしのポンプを駆動するため、走行速度が変化しても散布量が一定であること(図2)、横方向の散布むらが少ないこと、草冠上から近接散布するため自然風による散布精度への影響も少ないことから、むらの少ない高精度な散布ができる。
また、薬液の漂流飛散も減らすことができる。
ウ.噴霧された液剤をさらに風で吹込む方式(エアアシスト)を採用したため、稲株内への薬液の付着むらが少ない(株元付着量のCVの一例:ファン有0.50、ファン無0.53、慣行0.98)。
エ.乗車一人作業が可能で、労働負担が軽く、高能率な作業ができる(表2)。
オ.散布幅が7.5mであるため、30m幅のほ場を2往復で作業できる。それ以外の幅のほ場でも、散布幅を1.5m単位で調節できるため、ほ場の幅に合せた作業が可能である。
成果の活用面・留意点
平成7年度に高性能農業機械実用化促進事業に移行し、平成8年から市販予定。
本田の水稲の液剤少量散布に登録のある農薬を使用する、ほ場の形状に合せて予め走路を決めて作業する、ノズル高さを草冠部から20cm程度にして作業することなどに留意する。
具体的データ




その他
- 研究課題名:水田用栽培管理ビークルの開発
- 予算区分:経常・緊プロ(共同)
- 研究期間:平成7年度(平成5年~7年)