切断稲わらの圧縮特性
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要約
電動シリンダを用いた圧縮試験装置を試作して、容器に入れた稲わらを軽圧縮力で圧縮した場合の稲わらの切断長が圧縮密度に及ぼす影響を調査し、稲わらを5cm以下に短く切断すると圧縮密度が急激に高くなり、圧縮力も全方向にほぼ均等に伝播すること等を明らかにした。
- 担当:生物系特定産業技術研究推進機構 畜産工学研究部 飼料生産工学研究
- 連絡先:048-663-3901
- 部会名:作業技術
- 専門:機械
- 対象:農業機械
- 分類:研究
背景・ねらい
農村地域における大気汚染の原因の一つになっている稲わらや麦わら等低利用資源の焼却を未然に防ぎ、かつ家畜の粗飼料としての有効利用を一層推進することをねらいとして、稲わらの効率的なハンドリング技術確立のために、軽圧縮力条件下での圧縮特性を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 試作した圧縮試験装置は、直方体(縦20×横20×高さ30cm及び30×30×30cm)の容器に入れたわら類を電動シリンダ(最大推力590N、伸縮速度可変)の先端に取り付けた圧縮板等により圧縮するもので、圧縮力をロードセル、電動シリンダの伸縮距離を超音波式変位計、容器底面における圧力分布をタクタイルセンサでリアルタイムで測定できる。
- 予め秤量し、均等な分布になるよう配慮しながら人力で容器に入れた稲わら(設定切断長:1cm、2cm、3cm、5cm、10cm、15cm、含水率:10~15%w.b.)を約490N(圧縮板19×19cm、換算圧力約14kPa)の圧縮力で圧縮した結果、設定切断長が5cm以下になると圧縮板下の密度(圧縮密度)が急激に高くなった(図1)。
- 圧縮前と圧縮力を解放したときの体積から算出した体積減少率、及び所定圧縮力作用時の体積と圧縮力を解放したときの体積から算出した復元率は、稲わらの切断長が長くなるほど大きくなる(図2)。
- 稲わらの切断長が短くなるほど、容器底面の圧力値のばらつきが小さくなり(図3、図4)、また、容器の底面だけでなく容器の側面方向に作用する力の割合が大きくなり、圧縮力は全方向にほぼ均等に伝播するものと考えられた。
成果の活用面・留意点
- 切断稲わらを軽圧縮力で高密度に圧縮する作業機開発等の参考資料となる。
- さらに高圧縮力の場合、容器の体積が大きくなった場合、含水率が高い稲わら等の圧縮特性については別途検討する必要がある。
具体的データ




その他
- 研究課題名:低利用資源収集用機械の開発-小型高密度梱包装置の開発
- 予算区分:経常・所内特研
- 研究期間:平成7年度(平成4年~7年)