小型ロールベーラの梱包特性

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要約

成形方式がローラ式及びバーチェーン式の定径式小型ロールベーラを供試して切断長等性状の異なるわら類や牧草を梱包し、作業速度や切断長の違いによる両成形方式の梱包特性を明らかにした。

  • 担当:生物系特定産業技術研究推進機構・畜産工学研究部飼料生産工学研究
  • 連絡先:048-663-3901
  • 部会名:総合農業・作業技術草地・飼料利用
  • 専門:機械作業牧草類
  • 対象:農業機械
  • 分類:研究

背景・ねらい

現在、小型ロールベーラが普及しているが、その梱包特性等についてはほとんど明らかにされていない。そこで、市販の小型ロールベーラを供試して、切断長や含水率等性状の異なるわら類や牧草を梱包し、所要動力やロールベールの乾物密度に及ぼす影響等を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 供試した小型ロールベーラは、トラクタ直装式で成形方式が定径式のローラ式(ベールの大きさ:直径500mm×長さ830mm)及びバーチェーン式(ベールの大きさ:直径500mm×長さ800mm)の2機種で(図1)、機関出力22kWのトラクタに装着して試験を行った。
  • 所要動力は、いずれの成形方式も拾い上げとともに徐々に大きくなり、成形室が一杯になる直前に急激に上昇して最大に達し、トワイン掛けが始まると徐々に減少する等(図2)、大型ロールベーラの所要動力の推移とほぼ同様の傾向を示す。
  • 拾い上げ作業速度を変えて乾草の集草列を梱包した場合、ローラ式では作業速度が遅くなるほど最大所要動力当りのロールベールの乾物密度が高くなるが、バーチェーン式では0.8~1.0m/s付近で最大になる傾向がある(図3)。
  • 切断したわら類を梱包した場合、5cm以上の切断長ではロールベールの乾物密度に及ぼす影響はほとんどみられず、このサイズのロールベーラで切断したわら類の高密度梱包を行うには、さらに細切断する必要があると判断される(図4)。

成果の活用面・留意点

  • 小型ロールベーラを導入する場合の目安として活用できるとともに、小型高密度梱包作業機開発の基礎資料となる。
  • 切断したわら類等を圃場から拾い上げる場合は、拾い上げロスが大きくなるのでロスの問題については別途検討の必要がある。

具体的データ

図1.供試した小型ロールベーラ

 

図2.梱包作業時のPTO軸所要動力の推移例 図3.拾い上げ作業速度と最大所要動力当たりのロールベールの乾物密度(乾草)

 

図4.小麦わら梱包時の最大所要動力当たりのロールベールの乾物密度

 

その他

  • 研究課題名:低利用資源収集用機械の開発-小型高密度梱包装置の開発-
  • 予算区分:経常、所内特研
  • 研究期間:平成7年度(平成4年~7年)
  • 発表論文等:亀井雅浩・山名伸樹(1994)、小型ロールベーラの梱包特性に関する調査、農作業研究、第29巻別号1,平成5年度事業報告