傾斜草地適応性の高いロールベーラ
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
傾斜草地での牧草収穫作業を安全に、かつ効率的に行えるようにするため、
傾斜地適応性を高めたロールベーラ。このベーラは、傾斜補正式の追従制御機構とベ
ールの転がり防止装置を備えており、安定した傾斜地牧草収穫作業が可能である。
- 担当:生研機構・畜産工学研究部・飼料生産工学研究
- 連絡先:048-654-7094
- 部会名:生産管理
- 専門:機械
- 対象:農業機械・牧草類
- 分類:普及
背景・ねらい
ロールベーラは、高能率作業が可能な作業機として広く普及しているが、傾斜草地では作業の安全性、作業精度の低下、ベールの転がりなどの問題から、高能率な収穫作業ができないのが現状である。そこで、傾斜草地における梱包作業を安全、しかも効率的、省力的に行えるようにすることをねらいに、傾斜地適応性の高いロールベーラを開発した。
成果の内容・特徴
- 本ロールベーラはいずれもトラクタけん引式で、広幅ピックアップ装置を装備している。ベール直径は1m(定径式)で、成形方式はローラ式とバーチェーン式の2機種がある。バーチェーン式では放出時のベールの勢いを利用してベールを立てる反転ポール式、ローラ式では排出されたベールを片側にのみダンプ可能とした枠に載せて立てるダ ンプ枠式のベール転がり防止装置をベーラ後端に装着している(図1)、(図2)及び(表)。
- ベーラには傾斜計及びけん引角とベーラ車輪のかじ取り角を検出するポテンショメータが取り付けられており、傾斜角による補正を加えながらけん引角とけん引角速度からトラクタの走行軌跡にベーラが正確に追従するようなベーラ車輪のかじ取り角を求め、かじ取り制御する。
- 平均傾斜度が8度の草地で等高線走行を行った結果、傾斜無補正時に10cm程度あった軌跡のずれは、傾斜補正によって2~3cm以下に減少した。また、蛇行走行では、傾斜補正追従制御により、軌跡のずれは5cm以内に収まった(図3)。
- 傾斜度15度までの草地で収穫作業を行った結果、ローラ式、バーチェーン式ともに良好な追従性と旋回性を示した。またベールが転がることもなく円滑な作業ができた。この時の毎時処理量(材料含水率60%換算)は、8~11t/hであった。
成果の活用面・留意点
- 高性能農業機械実用化促進事業に移行し、市販化の予定。
- 傾斜度約15度までの採草地での作業に供試できる。
- このベーラで梱包されたベールは立てておかれるため、雨水等が侵入しやすい。降雨等が心配されるときは、速やかな運搬、収納を行うことが望ましい。
具体的データ




その他
- 研究課題名:傾斜地用ベーラの開発
- 予算区分:経常・緊プロ(委託)
- 研究期間:平成9年度(平成5年~8年)
- 研究担当者:山名伸樹、亀井雅浩(現:中国農試)、林和信、久保田太郎、八木茂、石束宣明(現:四国農試)、諏澤健三、スター農機(株)、(株)タカキタ
- 発表論文等:平成8年度生研機構研究報告会資料