果実収穫作業を軽労化する収穫箱ハンドリング作業車
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要約
果実収穫作業の軽労化を目的とし、収穫箱を収集して園外に搬出するための自走式
作業車である。荷台、パレット昇降装置及び収穫箱積込み装置を装備し、収穫箱のパレットへ
の積込み、荷台への移動、積替え及び荷下しを軽作業化することができる。
- 担当:生研機構・園芸工学研究部・果樹生産工学研究
- 連絡先:048-654-7084
- 部会名:果樹
- 専門:機械
- 対象:農業機械、果樹類
- 分類:指導
背景・ねらい
果樹の収穫作業では、通常 20
kg程度の果実を収容できるプラスチック製収穫箱が用いられる。果実入り収穫箱は各種のほ場
内運搬車を利用して園外に収集搬出し、トラック等に積替えて運
搬されるが、重量物の積み下ろしを繰り返す作業体系の改善が要望されている。このため、一
連の作業を軽労働で合理的に行うことができるハンドリング作業車
を開発した。
成果の内容・特徴
- 4輪の油圧駆動式作業車であり、収穫箱を積載する荷台、車体後部に設けたパレット昇
降装置、収穫箱積込み装置及び乗車運転席からなる(
図1
)。
荷台床面には油圧駆動のローラコンベヤを設置し、収穫箱を積載したパレットを前後方向に移
動することができる。パレット昇降装置はフォークリフトと同様の
機能を有するが、フォーク上にはローラを配置し、先端部にパレット落下防止用のストッパを
設けている。収穫箱積込み装置は空気圧式バランサと把持装置から
なり、軽微な力で収穫箱を吊り上げて移動することができる(
表1
)。
- 操作は機体前部の乗車運転席のほか、昇降装置近くの後部運転装置を用いて行う
ことができる。油圧による4輪操舵式であり、作業に適した操舵法を選択することが可能であ
る。
- 園内で収穫箱を収集し、トラックの位置まで搬送して積替える作業を動力運搬車
利用の慣行作業と比較すると作業能率が3~ 27
%向上するが、把持装置を利用して収穫箱の積込みを行った場合は、作業能率が慣行より8~
41
%低くなる。心拍数増加率はいずれの場合も慣行作業を大幅に下回り、労働強度の軽減が図ら
れる(
表2
)。
- 開発機の特徴は以下のとおりである。
1) パレットを低い位置に設置できるので、果実入りの収穫箱を、軽作業で能率良くパレット
上に積み込むことができる。収穫箱積込み 装置を利用した場合は、人力積込みよりも能率は
低下するが、より軽微な力で作業を行うことができる(
図2
)。
2) 積込み後はパレット単位でハンドリングできるので、合理的な作業体系が構築できる。
成果の活用面・留意点
- 果実収穫作業の軽労化、省力化技術として活用できる。
- 樹列間に、1,000 L級のスピードスプレーヤが走行できる程度の空間が必要である
。
- 実用化に当たっては、構造の簡略化と製造コストの低減に配慮する必要がある。
具体的データ




その他
- 研究課題名:果樹省力・低コスト栽培用機械の開発-収穫作業省力化システムの開発
- 予算区分 :経常・受託(果実基金)
- 研究期間 :平成 10 年度(平成7年~ 10 年)
- 研究担当者:小川幹雄、久保田太郎、高本仁司、藤井幸人、大森弘美、宮浦友宏
- 発表論文等:果実収穫作業省力化システムの開発(第2報), 第 56 回農業機械学会年次
大会講演要旨, 377-378, 1997.
果実収穫作業省力化システムの開発(第3報), 第 57 回同要旨, 449-450, 1998.
果実収穫作業省力化システムの開発(第4報), 第 58 回同要旨, 33-34, 1999. 特許出
願中(特願平8-67938)