自走式非結球性葉菜収穫機
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要約
密植され傷のつきやすいホウレンソウ等の非結球性葉菜類を対象とした自走式の電動歩行型1条用収穫機で、掘取り深さを制御しながら収穫し小型コンテナに収容する。作業能率は0.5~1.0a/h(作業者1名)で、手収穫作業の約2倍である。
- 担当:生研機構・企画部・野菜機械等開発チーム第1
- 連絡先:048-654-7038
- 部会名:作業技術
- 専門:機械
- 対象:葉茎菜類
- 分類:普及
背景・ねらい
ホウレンソウの栽培面積は約2万7千haで、6、7割がトンネルなど露地栽培、3~4割が雨よけハウス栽培であり、所要労働時間は10a当たり200~300時間で、その内、収穫調製作業が7割から8割を占めている。ホウレンソウの産地では年間4~7作を行ない、8~10ヵ月間、毎日、収穫調製作業が行なわれている。そこで、未機械化分野であるホウレンソウ等の非結球性葉菜類の収穫機を開発した。
成果の内容・特徴
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開発機は、車輪式の走行部、振動式掘取り刃・挾持ベルト等からなる収穫部および収容部等か
らなる(
図1
)。
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一斉収穫方式で、畝をまたいで走行する方式と前面刈り方式(刈取条の後を車輪走行)があり
、いずれも1条用収穫機である。収穫部をユニット化し、これを横方向に移動できる構造とし
、1畝多条栽培に適応できる。動力には電動機(DC24V、300W)を用いている。
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適応する栽植様式は、条間15cm以上、株間15cm以下、畝高さ0~20cmで、畝をまたいで走行す
る方式では畝幅120cm以下である。
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ホウレンソウの損傷程度は、隣接条間の葉身・葉柄の重なりが多くなるに従い大きくなるが、
調製後の葉身・葉柄の損傷割合は5~25%で、栽培農家の手作業
の損傷範囲と同程度である。収穫作業速度は 0.1~0.2m/sで、作業能率は栽植密度により異な
るが、作業者1名で 0.5~1.0a/hである。
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ほ場末端での回行距離は1.8mで、騒音が少なく排気ガスがないため、ハウス栽培での適応性も
高い。条合せ範囲(横方向移動距離)は50cmで、掘取り深さ自動制御方式であるため、走行操
作が容易で、コンテナ等への収容作業も円滑に行なうことができる。
成果の活用面・留意点
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ホウレンソウや小松菜等の軟弱野菜の収穫作業に利用できる。
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効果的に利用するためには、隣接条間と葉の重なりの少ないことが重要であり、品種の選定及
び栽培方法の工夫が必要である。
具体的データ

図1:非結球性葉菜収穫機

表1:収穫試験概要(平成9年度)
その他
- 研究課題名:非結球性葉菜収穫機の開発、非結球性葉菜収穫機の汎用利用に関する研究
- 予算区分 :経常・緊プロ(共同)・21緊プロ(評価)
- 研究期間 :平10年度(平成5~10年)