穀物遠赤外線乾燥機
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要約
遠赤外線を用いる穀物乾燥機である。燃料ならびに電気の消費量が少なく省エネルギーになり、地球温暖化の原因の一つであるCO2の削減に貢献できる。また、低騒音で高品質乾燥が可能で、作業環境の改善に寄与でき、生産者だけでなく消費者の要望にも応えることができる。
- 担当:生研機構・生産システム研究部・乾燥調製システム研究
- 連絡先:048-654-7079
- 部会名:作業技術
- 専門:機械
- 対象:農業機械,稲類,麦類
- 分類:普及
背景・ねらい
低コストで高品質な穀物生産、及び、環境にやさしい機械の開発が望まれている。そこで、乾燥において、省エネ・高品質化に有効とされる遠赤外線を利用して、穀物の乾燥を行う装置を開発する。
成果の内容・特徴
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灯油の燃焼熱で、ステンレスパイプにシリコン樹脂系塗料を塗布した遠赤外線放射体を加熱す
ることによって放射する遠赤外線と、その放射体より排出される排熱を乾燥エネルギーとする
穀物遠赤外線乾燥機(
図1
)。
-
開発した装置の特徴は以下のとおりである。
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従来型循環式乾燥機の熱風路又は集穀室内に、遠赤外線放射体を組み込み、遠赤外線放射乾燥
を可能にして、低コスト化を図っている(
図1
)。
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0.7%/h程度の乾燥速度乾燥できる(表)。
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熱風乾燥機に比べ、燃料を平均10%程度、消費電力量を平均30%程度節減でき(表)、騒音レベ
ルを平均3dB程度低くできる(
図2
) 。
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重胴割れ率の増加は2%以下である(
図3
)。
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熱風乾燥に比べ、米の食味の味・粘りが向上し総合評価が高くなる(
図4
)。
成果の活用面・留意点
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高性能農業機械実用化促進事業に移行し、実用化して普及しつつある。
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適期収穫を励行する必要がある。
具体的データ

図1:穀物遠赤外線乾燥機の概念と構造

図2:遠赤外線乾燥機と熱風乾燥機との騒音差

図3:乾燥速度と重胴割れ率の増加

図4:食味
その他
- 研究課題名:穀物遠赤外線乾燥機の開発
- 予 算 区 分:経常・21緊プロ(共同)
- 研 究 期 間:平成10年度(平成6~10年)