圧縮機能を持ったフォレージワゴン

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要約

フォレージハーベスタで細断された飼料作物の運搬の効率化とスタックサイロ調製作業の省力化をねらいとした、圧縮機能及びダンプ機能を持つフォレージワゴン。高密度運搬と省力的な荷下ろし及びスタックサイロ調製作業が可能である。

  • 担当:生研機構・畜産工学研究部・飼料生産工学研究
  • 連絡先:048-654-7094
  • 部会名:生産管理
  • 専門:機械
  • 対象:農業機械・飼料作物類
  • 分類:普 及

背景・ねらい

低コストでサイレージ調製が可能な簡易サイロが注目されている。中でも、スタックサイロは設置場所の制約 等が少ないことから補助サイロとしても広く利用さ れている。しかし、飼料作物の荷下ろし、成形、踏圧作業に多くの時間や労力を必要とする問題点がある。そ こで、フォレージハーベスタで収穫された飼料作物 の効率的運搬と、スタックサイロ調製作業の省力化をねらいに、圧縮機能とダンプ機能を持ったフォレージワ ゴンを開発した。

成果の内容・特徴

  • 油圧シリンダ(油圧源はトラクタの外部油圧)により前後に移動可能な壁(可動壁)と荷台のダンプ機能 を持つ荷台容積が5.17m3のフォレージワゴンで、トラクタでけん引してフォレージハーベスタに伴走して荷受 けする( 図1 及び 表1)。
  • ワゴン上方から吹き込まれた飼料作物がある程度の量になると、レバー操作により可動壁をワゴン後 方に移動させ、圧縮する。可動壁には天 板が取り付けられているため、圧縮操作中も収穫作業を継続することができる。圧縮操作を繰り返し、荷台が 満杯になると、荷台のダンプにあわせて可動壁を荷 台後端まで移動させて飼料作物を押し出す。
  • トウモロコシ収穫作業に供試した結果、圧縮操作によりワゴンの積載密度は20~50%高くなった。荷 下ろしもごく短時間で可能で、荷下ろし時の荷崩れはほとんどなく、スタック形状の保持が可能であった (図2) 。また、圧縮して荷下ろしした時のサイロ 成形時間は、無圧縮の場合に比較して大幅に短縮できた (表2) 。
  • 本ワゴンで圧縮・荷下ろしして調製したスタックサイロのサイレージ品質を慣行法(ワ ゴンで圧縮 せずに荷下ろしし、ホイールローダで踏 圧後密封)で調製したサイレージと pH、香味、色、触覚等で比較した結果、本ワゴンでのサイレージ品質は 慣行法とほぼ 同程度であった(11月収穫)。

成果の活用面・留意点

  • 高性能農業機械実用化促進事業に移行し、市販化の予定。
  • 適応トラクタの大きさは22kW以上で、油圧圧力は10~16MPaが望ましい。
  • 牧草収穫作業への適応性は未検討である。また、高温多湿時におけるサイレージ品質 等については 、さらに実証試験を重ねる必要がある。

具体的データ

図1 開発したワゴンの概要

表1 開発ワゴンの主な仕様と諸元

図2 荷下ろし後におけるスタックの状態

表2 試験結果

その他

  • 研究課題名:フォレージ・プレス・ワゴンの開発
  • 予算区分 :経常・緊プロ(委託)
  • 研究期間 :平成10年度(平成7~9年)
  • 研究担当者:山名伸樹、志藤博克、亀井雅浩(現:中国農試)、八木茂、石束宣明(現:四国農試) 、(株)タカキタ
  • 発表論文等:フォレージ・プレス・ワゴン、平成9年度生研機構研究報告会資料、18、1998
                      フォレージプレスワゴンの開発、農機学会第34回関東支部年次大会講要、9 ~10、1998
                     フォレージプレスワゴン、畜産の研究53(1)、151-155、1999