いちご移植機
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要約
施設内ほ場において、花房の発生方向が揃うように、イチゴ苗を適切な向きで、斜め植えができる 歩行型1条用半自動移植機である。対象移植苗は、セルトレイと小型ポットで育苗した苗である。
- キーワード:
イチゴ苗、適切な向き、斜め植え、歩行型1条用半自動移植機、セル
トレイ、小型ポット
- 担当:生研機構・企画部・野菜機械等開発チーム第2
- 連絡小型ポット:048-654-7041
- 部会名:作業技術
- 専門:機械
- 対象:農業機械、果菜類
- 分類:普及
背景・ねらい
いちごの総労働時間は1800h/10a程度であり、走植作業は110h/10a程度と多くの時間を要している。慣行のいちご定植作業は、苗運搬用台車等が利用されている程度で、植付けは手作業で腰を折り曲げた状態で行われており、省力化が望まれている。なお、いちごの定植は、収穫作業を能率的に行えるよう花房の発生方向を揃え果実が畝溝方向又は畝中央方向に揃うように、親株側のランナーの向きを花房の発生する側の反対に揃え、しかも一定方向に傾けて植え付けが行われている(図1-a)。一方、育苗と、定植の労力節滅をねらいとして、セルトレイ又は小型ポットを利用した育苗が普及し始めている。そこで、定植作業の省力化を目的として、セルトレイ又は小型ポットで育苗された苗を対象として、苗の向きを揃えて斜め植えできる半自動移植機を開発した。
成果の内容・特徴
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開発したいちご移植機は、1.6kWエンジンを搭載した2輪駆動4輪式で、苗の供給を人手で行
う歩行型半自動移植機である(
図2
、
3
、
表1
)。1条植で往復作業により1畝2条を植え付ける。
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植付けは、歯車列によるクランク機構で駆動される開孔器で行い、垂直面から畝溝方向に20 ゚
傾けて植付けが行える外なり栽培用と、垂直面から畝中央方向に20 ゚傾けて植付けが行える内
なり栽培用の2型式を選択することができる。
- 移植対象苗は、セルトレイと小型ポットで育苗した苗であり、セルトレイの場合は、根鉢に花房の発生する向きを示す突起を設けることができる(表2)。
- セルトレイで育苗した品種「女峰」と「とちおとめ」、及び小型ポットで育苗した品種「とよのか」を供試した場合の作業能率(ほ場作業量)は1.2-1.3a/時で、圃場作業効率は約60%、欠株率は約3%である。移植後の生育、及び果房の畝溝方向への発生割合は93%以上で、ともに手植えと同程度である(表3)。
成果の活用面・留意点
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平成11年度に高性能農業機械実用化促進事業に移行し、市販化の予定である。
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適応する栽培様式は、畝幅110-120cm、畝高さ30-40cm、条間25-30cmの1畝2条外なり栽培、又は畝幅115-125cm、畝高さ15-25cm、条間25-30cmの内なり栽培である。
- いちご苗は、草丈20cm以下、葉数5枚以下で、育苗容器から取り出す際に根鉢が崩れないように育苗管理する必要がある。
具体的データ
その他
- 研究課題名:いちご移植機の開発
- 予算区分:経常・緊プロ(委託)
- 研究期間:平成10年度(平成8~9年)
- 研究担当者:金光幹雄、太田智彦、諏澤健三、ヤンマー農機(株)、石川島芝浦機械(株)
- 発表論文等:平成9年度生研機構研究報告会資料、
特許出願中(特願平9-317989、特願平9-346247)