野菜育苗施設のキャベツセル成型苗における立枯れの発生実態
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要約
野菜育苗施設のキャベツセル成型苗では、高温期には黒すす病、低温期には
Pythium
megalacanthumによる苗立枯病の被害が大きい。3月にはべと病による地上部の被害
も発生する。
- キーワード:キャベツセル成型苗、黒すす病、Pythium megalacanthumによる苗立
枯病、べと病
- 担当:野菜・茶業試験場 環境部 病害研究室
- 連絡先:059-268-4641
- 部会名:野菜・茶業
- 専門:作物病害
- 対象:葉茎菜類
- 分類:指導
背景・ねらい
近年盛んになってきた野菜のセル成型育苗では、従来の育苗方法とは異なる病害が発生する
危険性がある。三重県久居市の野菜育苗施設において、キャベツのセル成型苗に発生した病害
の
病原菌を同定し、効率的な防除方法策定の参考とする。
成果の内容・特徴
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1998年1~4月と8~11月に三重県久居市の野菜育苗施設において、128穴のセル トレイを用い
て育苗されたキャベツセル成型苗に発生した病害の病原菌を調査した。
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黒すす病は通年発生したが、高温期や長雨期(9~10月)の発生が顕著であり(
図2
、
3
)、最大でトレイ1枚当たり3株立枯れた。立枯れ株の多かった品種では、立枯れにま では至
らない発病株や不発芽種子も多い。
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低温期(1~3月)にはPythium megalacanthumによる苗立枯病の被害が大きい(
図1
)。 本病はトレイ内で二次伝染し、1トレイ内の半数以上の株が立枯れる場合もある。
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1~4月に育苗された苗では、3月からべと病による地上部の被害も認められる(
図2
)。
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根朽病、Rhizoctonia solaniによる苗立枯病、Fusarium avenaceumまたはFusarium
semitectumによる芽枯れの被害もわずかに認められる。
成果の活用面・留意点
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セル成型育苗では、密植や頭上灌水により病害が伝染しやすいと考えられる。
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高温期の黒すす病、低温期の苗立枯病に対する防除対策が重要である。
具体的データ
その他
- 研究課題名:セル成型苗に発生する苗立枯病
- 予算区分:地域総合
- 研究期間:平成10年度(平成9~10年度)
- 研究担当者:窪田昌春・我孫子和雄
- 発表論文等:なし