高能率で、管理作業の容易な水稲湛水直播用帯状播種機

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要約

代かきした水田に、コーティング種子を30cm間隔に約15cmの播き幅で均一に播種する、作業幅4.8mの水稲湛水直播用帯状播種機である。均一な繰出しが可能なことから生育むらが少なく、未播種部分があることから播種後の管理作業が容易となる。

  • 担当部:生研機構・生産システム研究部・大規模機械化システム研究・土壌管理システム研究
  • 連絡先:048-654-7070
  • 部会名:作業技術
  • 専門:機械
  • 対象:農業機械、稲類
  • 分類:普及

背景・ねらい

作業幅の広い従来の水稲湛水直播用機械(背負式動力散布機、乗用管理機用又は無人ヘリコプタ用など)には、全面に散播されるため播種むらが大きく生育むらにつながること、播種後の管理作業が行いにくいこと等の問題がある。そこで、広い作業幅を確保しつつ、繰出精度が高く、30cm間隔に約15cmの播き幅となる水稲湛水直播用帯状播種機を開発した。

成果の内容・特徴

  • カルパーコーティング剥離防止用ブラシを取付け、ダイヤル設定値及び走行速度により回転数制御される繰出ロールを装備した4個の繰出装置、各繰出装置から繰出された種子を空気搬送によって精度よく4分割する搬送・分配装置、1.2m単位で作業幅を変更できる条止め装置、覆土向上及び機体の安定化をねらった作溝装置等からなる水田用栽培管理ビークル搭載式の湛水直播用帯状播種機(図、表1)。
  • 開発機の特徴は以下のとおりである。
    (1)4個の繰出部から種子を繰出し4分割するため、16個の吐出口間の種子落下量変動係数は11~16%と少なく、横方向の播種むらが少ない。また、作業速度に連動した繰出量が得られるため、進行方向の播種むらも少ない。そのため、従来の散播機に比べ、出芽・苗立ち及び生育収量のむらを減らすことができる(表2、表3)。
    (2)30cm間隔で配置された吐出口より、土壌表面上30cm程度の高さから落下させることにより、約15cmの播き幅で播種され、播種後の管理作業が容易となる(図)。
    (3)作溝器をセンサとして作業機高さを制御することにより、従来の散播機に比べ、作業時の機体安定性が向上するとともに、軟らかい土壌条件下では、浮き苗・転び苗を減らし、安定した生育を確保できる可能性がある(表2)。
    (4)0.8ha/h以上の高能率播種ができる。

成果の活用面・留意点

  • 高性能農業機械実用化促進事業に移行し、市販化の予定。
  • 代かきは播種前日もしくは当日に行い、十分に軟らかい状態で播種作業を行うことが望ましい。

具体的データ

図開発機(上)とその播種様式(左下)

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その他

  • 研究課題名:高精度水稲湛水直播機-散播機の開発
  • 予算区分:経常・21緊プロ(共同)
  • 研究期間:平成10年度(平成6~10~11年)
  • 研究担当者:西村 洋、林 和信、後藤隆志、堀尾光広、市川友彦、澤野寿彦、(株)共立、(株)ササキコーポレーション、初田工業(株)
  • 発表論文等:平成10・11年度生研機構研究報告会資料、第58回農業機械学会年次大会講演要旨、特許出願中(特開平10-56824)