家畜尿汚水の浄化処理水を対象としたオゾン発生型紫外線ランプ照射による脱色技術
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要約
色度300度程度の家畜尿汚水の浄化処理水に、過酸化水素水を添加してオゾン発生型紫外線ランプを照射し、さらに紫外線ランプで発生したオゾン混合空気で曝気して着色成分の有機物を酸化分解し、6時間程度で色度100度まで脱色する技術である。
- 担当部:生研機構・畜産工学研究部・飼養管理工学研究
- 連絡先:048-654-7098
- 部会名:作業技術
- 専門:機械
- 対象:農業機械、家畜類
- 分類:研究
背景・ねらい
汚濁濃度の高い家畜尿汚水を活性汚泥法等の浄化処理装置で処理した水は、茶褐色を呈している場合が多く、河川や用水等への放流時に脱色することが求められるケースが増えている。そこで、茶褐色を呈した浄化処理水の着色成分と考えられる高分子有機物を活性酸素等を利用した酸化分解法によって、短時間に脱色するための技術を開発する。
成果の内容・特徴
- 畜産農家36戸の家畜尿汚水浄化処理施設の処理水(放流前)を分析した結果、色度が100度以下ならば、CODは水質汚濁防止法の排水基準である160mg/L(日平均120mg/L)以下となっていることから(図1)、脱色の目標値を色度100度以下とする。
- 開発した試験装置(図2)は、家畜尿汚水の浄化処理水に過酸化水素水(H2O2)を添加し、紫外線ランプ(低圧水銀ランプCLH65SD、オゾン発生型、254+185nm、長さ100cm、65W/本)を照射することで生成される活性酸素類と保護ガラス管内で発生するオゾン混合空気をコンプレッサで処理水へ送入曝気することによって、処理水中の着色成分の有機物を酸化分解し脱色できる。
- 色度300度程度の活性汚泥法によって浄化された処理水(390L)に、過酸化水素水を 添加(200ppm、223mL)してオゾン発生型紫外線ランプ(16本)を照射し、さらにオゾン混合空気で曝気(曝気量30L/min)することにより、6時間程度で色度100度以下まで脱色できる(図3)。
成果の活用面・留意点
- 茶褐色に呈した家畜尿汚水浄化処理水を脱色するための参考資料として活用できる。
- 脱色時間を長くし、H2O2水の添加量を多くすると脱色性能は向上するが、電気使用量は増加するのでその削減方法を検討し、ランニングコストの低減化を図る必要がある。
- 紫外線ランプの保護ガラス管に茶褐色の有機物が付着するので洗浄・除去する必要がある。
具体的データ



その他
- 研究課題名:畜舎排水の脱色技術の開発
- 予算区分:経常・受託(畜試;家畜排泄物)
- 研究期間:平成11年度(平成9年~11年)
- 研究担当者:道宗直昭、名川 稔、原田泰弘、古山隆司
- 発表論文等:第59回農業機械学会年次大会講演要旨、2000